「我が輩のために よく働いた 人間共」

「あとは我が輩が」

「貴様等の「病気」を 治してやる」





↓下記この漫画について思ったことをだらだらと

「魔人探偵脳噛ネウロ」という漫画は、
アクが強くて一部にしか受けないんだろうなーとは
前々から漠然と考えておりましたが、
その面白さは意外と儚く繊細なもので、
受け付けない人には全く100%受信されないのだ!
ということを思い知ったのは皮肉にも
アニメが恐ろしい…………だった時です。
(あれを受信しないひとには「ネウロ」がああいう漫画に見えている!
というのを映像化した、稀有なアニメでしたな……)
ネウロが「普段は意地悪で、怒ったら恐ろしい人外の美形」で、
ヤコが「正しく純粋な心を持ったヒロイン」という
テンプレキャラになっただけで、あそこまで作品が打撃を受けて
面白さが死んでしまうとは思いもよりませんでした。

もちろんテンプレにはテンプレの良さがありますが
あの漫画の長所はそこじゃない。
ネウロは類型的な冷酷美形に見えなくもないですが、
しかし彼も、生存本能すら凌駕する自分の食欲に振り回され、
我が身を危険に晒す馬鹿な一面がある。
発見があればこれまでの認識を改める。
自分の心が分からなくなる瞬間がある。
(というか、ネウロは冷酷美形ではなくて
理解不能な気持ちの悪い魔人なんですよ基本)

ヤコは誰の言うことにも流されがちで
おとなしく受け入れるばかりの子にも見えますが
でも彼女には人の心を知りたいという貪欲な性分があって
まずは何でもかんでも口に入れてみている。
そして受信ばかりの一方通行ではなく、
ちゃんと相手にも影響を及ぼしているのはネウロやアヤを見れば分かる。
(関係ないけどヤコちゃんは誕生日が3月10日だ!)

あとは松井先生のごちゃごちゃした、けれどパワーのある絵で
生き生きと跳ねまわる狂人たちと、個性的な擬音、
展開される滅茶苦茶な理屈が好きでした。
背景にこっそりと又は堂々と、
ジャンプギリギリの何かが描かれているのもドキドキさせられた。
腐る直前の果物みたいな危なさが、常に「ネウロ」にはありました。

正直言えば6は、最後の敵としては役者不足に見えて
彼と闘っていた全編、スケールダウンしたように感じていましたが
最終回を読んで、着地点がここであるなら仕方ないかと思いました。

到底意思の疎通などはかれそうもない
きもい魔人と変な人間の女の子が、
ゆっくりではあるけれど互いを理解し、変化しましたね。
「相互理解は時間がかかるけど、無駄ではない」
「人間は面白い。すごい」
というテーマがあって、登場人物でそれが表現され、
ちゃんとラストで閉じた。

あんなに頭のおかしな人が大量に出てきて
人が死にまくった漫画であるのに
やりやがったな……(笑)とは思いますけど。

松井先生4年間ありがとうございました。
(なんでか読書かんそうぶんくさくなった!)