また、だ。
 ここ暫く食事の時間にたびたび訪れる落ち着かなさを俺は今また感じている。
「…………おい、」
 うん?と返事をして相手は一つ瞬きをした。
「俺の顔に何か付いているか?」
「いいや?何故?」
「だったら、その…出来ればやめてくれないか」
「……何を?」
 (何と聞かれても)
 彼がいかにも不思議そうに問い返すものだから、もしかして自分の考えすぎだったのか、という疑惑がちらりと脳裏をよぎる。
 否、この視線が気のせいだとすれば俺は相当どうかしているぞ。
 否、否。この際自分がどうかしているかどうかは問題では無いのだ。それがどんなにバカげていると思える内容だろうと、今後ずっとこの状態が続くことを思えば―――
「…その……見るのを」
「見る?何を?」
「…俺を」
「誰が?」

 嗚呼。
 ハムレットさながらの苦悩をもって俺は天を振り仰ぐ。(ただし心の中で)
 想像した返答を発音すら違えずそのまま聞く事が、これほど人を不幸にするるとは。
「………お前が、俺を、だ。この会話の流れで他に何がある!」
「ああ、それもそうだね」
 がっくりと脱力した人の気も知らぬげに、リーマスは否定も悪びれもせずおっとりと他人事のように笑う。
「気をつけよう」
「ちょっと待て、それは気をつけるとかいう問題なのか?」
「善処するよ?」
「…………そうしてくれ」
 彼に自分の意図を正確に伝えるのは難しい。それは俺のものの言い方に問題があるのか、それとも向こうの方にズレがあるのか(両方だろうとは思っている)。
 俺はやはり心の中で溜息をつき、食事を続ける同居人を仕返しの様に眺めた。











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