「ゴジラ -1.0」 監督脚本 山崎貴さん 特攻隊の生き残り敷島は、 焼け野原になった東京で、子供を連れた女性と知り合い、 身を寄せ合うようになるが、 そこへかつて戦場で目撃した巨大生物が襲来する…というあらすじ。 戦後すぐの世界設定とのことで またこう…妻子を守るためにこの命を…未来のために云々… あなた必ず帰ってきて…おとうちゃーんエーン… 敬礼スローモーション音楽ゥ〜みたいなのかな…と思って見に行きました。 や、でも違った。 右と左、リベラルと旧価値観の中間を、 うまいことシュシュシュっと駆けた。 ラストまでばれ (もしかして日本人って特攻隊エンタメが好きなの?とは思いますが) (難病ものみたいな分類なのかな?) でもみんなで敬礼はあった。 特攻隊批判、政府の情報統制批判、命が大事、黒い雨、 みたいなのやりつつ、 誰かが貧乏くじを引かなくちゃいけない、からの 海軍美化、男たちの連帯、頑張り、技術者は命がけで職務を全う、 みたいなの、作り手に思想があったらできないことで、 たぶん監督は心底どっちでもいいんだと思います。 (いい意味でも悪い意味でも) そういえば放射能の表現もフワッ…としてた。 妻子のために命を捨てるドラマは昨今風でないという判断か、 血のつながりのない家族の話になったのは良かった。 ゴジラとの戦いはあくまで敷島の人生の復讐・戦いで、 金を置いて消えるやり方や、 典子との再会シーンの子供の扱いでも分かるように、 彼自身がまだ子供なので、子供の保護者には到底なれないのも。 その一方で典子が経産婦の未亡人ではないこともジワジワとくる。 そのほうが受けるのは感覚的に分かる。 最大公約数への嗅覚に特化した才能だ。 低予算のジュラシックパークだった最初のゴジラとの邂逅で どーんとハードルが下がったが、あれは意図的だったのかも。 銀座の破壊と、わだつみ作戦は迫力がありました。 フロンガスって昭和の終わりくらいから現れたイメージだったが 戦前からあったのか。(あとフロンという呼称は日本独自のものなのか) 他の船が集結するシーンもベタベタながら盛り上がった。 (推進力が足りないのとクレーンの強度がもたないのは別問題だと思うけどね) 野田博士、金田一耕助の要素もある温厚さの中に きらりと光る狂気があり好きなキャラクターです。 ベタベタなセリフと、安藤サクラさんの演技力が殴り合って 安藤サクラさんの演技力が辛勝したような気がする。 典子さんの肩の黒ずみ、 ハッピーエンドの中のサッド要素かと思ったが G細胞説もあるのか…なるほど。 (この感想全文は「べ、べつに監督のこと認めたわけじゃないんだからね!」 みたいなイメージで読んでください) 2023.11.05 サイトに掲載 2024.05.07 再掲載 戻る |