「オオカミの家」










(同時上映「骨」)

チリのアーティスト、クリストバル・レオンとホアキン・コシーニャによるアニメーション。
チリ南部にある相互扶助団体から逃げ出した少女が豚2匹とともに
小屋に隠れ住むが、豚は人間に姿を変え、
やがて彼等の生活は恐ろしいものに変容していくというあらすじ。
アニメーションというと紙に描いた絵を動かして連続性をもたせたものが普通だが、
このアニメは四角い部屋に描かれた絵を動かし、時に立体になり、
ストップモーションアニメ風になり、他に似たもののない映像です。

このアニメに出てくる相互扶助団体はチリに実際あったコロニア・ディグニダがモデルとなっている。
ドイツ人の元ナチス党員でサディスト・小児性愛加虐者のパウル・シェーファーが
ドイツを追われ、チリで土地を開墾して作った宗教施設です。
パウル・シェーファーは家庭に事情のある子らを集め、
幼い少年たちを夜ごと弄び、周辺住民や実業家を懐柔し、
時の軍事政権と結びつき、思想犯の拷問や洗脳も任されるようになります。
脱走した子供や、被害を受けた大人が何度も訴えるのですが黙殺されます。

内容ばれ

すごく悪夢っぽい映像だった。
膨張し、収縮し、腐敗に似た崩壊をして
頻繁に形を変える肉体、
壁を這いまわる二次元の虫たち、
幻覚のように動く家具。
体裁としてはくだんの宗教団体の作った啓蒙アニメという設定なのだが、
子供が見たらまあ泣いちゃうだろうな…。

途中子守歌を歌うシーンがあるのだが、
そこでガクッと寝てしまった。
寝ないように用心していたがそれでも寝た。
(歌が終了したら起きました)
「眠りの精」が流れたらボールペンで太ももを刺すんだ…。

「お前も世話してやろうか」
が最高に怖い。

長年コロニアとその後継組織を守護してきた弁護士が、
2022年に人権大臣を引退したそうなので、
今後は告発作品が増えるかもしれません。

「骨」は、最初ドリーミンな映像だったが、
バラバラの骨にバラバラのまま肉がついて、
わりかしリアルな顔が載ったところはちょっとホラーだった。












2023.09.10 サイトに掲載

2024.05.07 再掲載





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