「 別れる決心 」 登山の事故で亡くなった男性の事件を捜査していた刑事は、 死んだ男の妻が、暴力を受けていたと知り、事件に疑いを持つ。 しかし刑事は、被疑者の未亡人に次第に惹かれていく…というあらすじ。 パク・チャヌク監督 ミステリ7割、恋愛3割くらいかなと思ったが比率が逆だった。 というか私はポン・ジュノ監督作品だと勘違いして見に行った。 予告で「パラサイト」の次はこれだ!と言っていたのを誤解したのだが、 次(にアカデミー賞を取るの)はこれだ!というような意味だったんだろうな。 直接的な性描写を使わず、どこまでインモラルで濃密な愛と情欲を表現できるか 挑戦なさってるのかな?と思いました。 ラストまでばれ パターンとしては妻のいる男が、悲劇を負った女に出会い、 運命を狂わされていく物語だが 現代風にアップデートしている部分もある。 男は仕事ができるうえに、妻のために料理をすることもできる。 食事をした後はテーブルを片付ける気遣いもできる。 リップクリームやハンドクリームを持ち歩くような、自分のケアもできる。 男の妻はエリートで、 感情的になったりしない。 ある意味被疑者の女とは真逆である。 こいつは駄目だなと判断するとスッと見切りをつける (妻の上司さん(?)が「女性の観客さんはこれ見て機嫌直してちょんまげ」 と言わんばかりのイケメンで笑ってしまった)。 まああと細かいことながら役者さんの年齢差も、 主人公の恋の相手が役者さん年齢にして40歳離れているという 頭のわいた映画があることを考えると、 3歳差というのは当世風インモラルラブロマンスだ。 男は妻帯者であるので被疑者の女とは不倫ということになるが、 むかしの映画みたいに大胆な濡れ場などはなく、 相手の傍にいる自分を空想したり、手が触れ合ったり、 最大接触でキスする程度である。 民事裁判的にもこれは不倫とは判断されないと思われる。 ただ、妻が食べたがったときには食べさせなかった寿司を (しかもかなり高級なやつを)被疑者の女に食べさせたりなどするところは ジワっとそういう感情を匂わせるのがうまいなと思った。 男を狂わせる女性の設定、これは10年や20年で それほど変わるものではないので仕方がないが、 支配虐待を受けており不幸で、適切な言葉で話すことができず、 他人のケアが上手く、ミステリアスで、どこか自暴自棄で美しい。 これは鉄板なのだろうが古風だなと思う。 逆にすると自由で幸福で弁が立ち、細かい気遣いはできず、 あけすけで、自分を大切にする、そんなに美人ではない女。 いやまあ、男性からしたらすけべ心はわかないかもしれないけど、 私は友達になりたいかな。 雑念空想と、事件の検証で時間が前後するのと、 過去の事件の再捜査とかがあるので、少しだけ混乱した。 DV男の登ってた岩山、あんな鼎泰豐の焼売みたいな山が本当にあるんだろうか。 2023.02.20 サイトに掲載 2024.05.07 再掲載 戻る |