「 イニシェリン島の精霊 」










原題:The Banshees of Inisherin

マーティン・マクドナー監督

1923年、内戦で荒れていたアイルランドの付近にある
イニシェリン島という架空の小さな島で、
年上の友人からある日、絶交を申し渡された中年の男が、
日常を失っていく様子を描いた映画。

島の自然はとても美しいが到底明るくはない内容。
注意としては、動物が死にます。肉体損壊表現あり。

ラストまでばれ

日照時間が足りなくて、みな精神を病んでしまうのではないかと思った。
赤の他人の郵便物を開封して読んでしまう女や(夫婦でも親子でも駄目だが)
友人に絶交を言い渡されても何度も何度もつきまとう中年の男、
絶交を受け入れない友人に自分の指を切って投げつける老人、
人のプライバシーを詮索し、拒絶されると相手を罵倒する警官、
子供への性虐待…。

アイルランド内戦の暗喩なのかしら?とか思った。
あるいは戦争そのものを表現したとか…。
現在で言うとコリン・ファレルがロシアで
ブレンダン・グリーソンがウクライナだな。
(お前のやっていることはこれくらい気持ち悪いんだぞプ〜〜〜〜チン!
という監督のメッセージかと…)
(犬は市民で、音大生がNATO、まで考えたんですが、
シボーンが中国になってしまうので、なんか違うと思ってやめた)
(メタファーなどろくでもない)

バリー・コーガンの死は自殺か事故説が有力なんですね。
私はてっきりコリン・ファレルが殺したのだと思ってた。
死体が発見されたシーンと同時に手紙に彼の死の事を書いてたから…。
彼が前半でこれなんだろう?って言ってた棒で、
水死体を引っ掛けて引き寄せてるの、ちょっとぞっとする伏線でした。

「セブン・サイコパス」と「スリー・ビルボード」のあらすじは
図形にすると綺麗な形になったが、この話は閉じてないし、
妹が枠外に出て戻らなかったりなどして図形化できない。
でもまあ3作品とも、人への一方的な執着を描く物語ではあるな。

アカデミー賞8部門ノミネート。








2023.02.06 サイトに掲載

2024.05.07 再掲載





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