「 ザ・メニュー 」











ホーソーンは予約の取れない超高級レストランで、船でしか渡れない孤島に建っていた。
主人公は男につれられて店に行くが、客は有名人か成功者ばかり。
食材へのこだわりも、スタッフたちの意識の高さも一流の名に恥じぬものだったが、
やがてコース料理の演出が、不穏なものに変わっていく…というあらすじ。
ホラー寄りのサイコサスペンスとして面白かったです。

痛いシーンが幾つかあります。

ラストばれ

料金は1250ドル。125000円かーって一瞬思ったけど、
円安なので現レートだと175000円ですね。
最近ものすごくおいしいコース料理を食べたばかりなので
偉人の顔が描いてある紙が何枚か減るくらい全然惜しくないわ!て心境はまあ分かる。
お料理は、流行の先端のやつで、分子ガストロノミー要素も取り入れつつ
ピンセットでレイアウトする感じで、
私はもうちょっと塩!脂!肉!海産物!ドーン!って風なのが好きですが
ジオラマみたいで綺麗ですね。
予告に使われてましたがラストの料理がビジュアル的にも、皮肉な説明文も好きです。

ハンニバルとソウを足して割ったような……。
シェフはドラマ版のレクター博士と対談してみてほしい。
でもオーナーの殺し方とか料理に比べてすごく稚拙で(天使って)、
レクター博士やジグソウと比べると、猟奇に対して特に情熱や興味がなく、
完全に仕事で神経をやられたひと、という感じで気の毒だった。
(ハンニバルなら「血のワシ」をやって、料理も殺し方にちなんだものにしただろう)
カルト宗教の集団自殺、もしくは赤軍の自己批判いわゆる総括というか。
コースのテーマは「持てる者の暴虐・持たざる者の抗議」だと思うけど、
シェフ自身も総括されるのが面白かった(性別上は強者)。

今この瞬間も「作品の価値も分からない凡俗どもめ!」と頭を掻きむしりながら
それでもクオリティ向上のために生命を削って
音楽や絵画や演劇や映画や小説や漫画を作製している人たちがいるのかも。
でもそれらは運が良ければ10年後、100年後に正しく評価される可能性があるけど
料理だけは不可能なので、心を病むのも致し方ないかも…。










2022.11.20 サイトに掲載

2023.05.07 再掲載





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