「 クライ・マッチョ 」











かつて名うての馬乗りだった主人公は今は老い、
仕事にあぶれる日々を送っていた。
かつての雇い主から、妻が連れ去った息子を
メキシコから取り戻してほしいと依頼された彼は
その仕事を受けるが… というあらすじ。

イーストウッド最新作です。褒めません。
監督は90歳を越えてもお元気そうで何よりですが、
さすがに座ったり立ったり歩いたり喋ったり以上の演技は厳しそうなご様子。

ラストまでばれ

そんな彼が、 雇用主の元妻の色っぽい女に
「抱いて」 って迫られたり(ほんとに言う)、
暴れ馬を乗りこなしたり、獣医のように動物全般のケアができて、
若い男とやりあってもパンチでKO、 しかも堅気の女性に惚れられる。
女優さんは40歳年下。 自分が40歳の時に誕生した子供と恋愛。
おじいちゃんドリーム映画です。
ドリーム映画だと分かって見るぶんにはいいが、
「女は年を取ったらおしまいだが、 男は年をとっても若い女と恋愛できる」
と本気で思っている人の認知の歪みを補強することになりはすまいか、大丈夫か。
販売員さんや看護士さんにまとわりついて何時間もねばるおじいちゃんを量産しないか?

それにしても「ミリオンダラー・ベイビー」 を撮った人の作品なのか本当に?
と疑ってしまうほど酷い(イーストウッド得意パターンの弱者+俺なんだけど、
少なくともグラントリノやミリオンダラーベイビーは出来栄えが優れていた)。
メキシコのちょっとしたワルの青年は、 世界名作劇場の好青年のようにおじいちゃんに従順だし、
会って間もないのに悩みを全部説明してくれる。夢の中の出来事のように全部上手くいく。
でも安心したんですが、 批評家からは酷評され、興行成績も惨敗だったとかで、
思ったより世界はまともだった。
「さすが俺たちのクリント・イーストウッド! さすクリ!」とはならなかったんですね。
よかった、 みんな正気で。
それと、「別れた妻が子供を連れ去った!」って日本でも問題になっている
DVマンたちの主張じゃん…って思ってたら、 雇用主が(も)悪で、これに関しては納得した。

ラストは今も腑に落ちてないんですが、
母は反社で、父は金目当てという事実が作中で明らかになっていて、
そうしたら当然ラストはイーストウッドが青年に一緒に暮らすか?って聞くと思うじゃないですか。
クズ父親に青年を引き渡して自分はメキシコに戻り若い女とよろしくやるハッピーエンドで
誰かこれ意見とかしなかったのか……?と思いました。
試写の客は全員おじいちゃんだったのか?いやしかしまともな高齢男性だっておられるだろうに。









2022.11.16 サイトに掲載

2023.05.07 再掲載





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