「 ヘルドッグス 地獄の犬たち 」











過去のとある事件をきっかけに警官を辞めた主人公は
現在は組織犯罪対策部の命令で、暴力団への潜入捜査を行っていた。
寡黙で仕事の的確な主人公はどんどん出世し、
部下にも慕われていたが…というあらすじ。

岡田さんのアクション目当てに行った。原作未読。
アジアンノワールをやろうとしていて、比較的上手くいっている。
感情のためのシーンが少なくて、湿度は低め。
暴力のシーンは多いが陰惨度は少し低く、日本で上映するにはベストだと思う。

岡田さんの作られるアクションは、一撃必殺ではなく
次の技にどんどん連携していく組み立てが、起承転結あって好きです。
むしろ隙のでる大技は避ける傾向にある。
つまりとてもテクニカルなので、
骨が折れても首が折れても情念がこもらなくてドライ。そこも好き。

性加害がほぼないのも良いと思う。
抵抗の手段のない女性を傷めつけるシーンがない。
邦画(一部アジア映画)は、怒鳴る・女に加害する=過激!って思ってる作品が多いんですが、
なんでもかんでも怒鳴ってる人は耳が遠いのかとしか思えないし、
女性への性加害は「ホモソーシャル忘年会かくし芸大会!」くらいにしか思えないので、
本当に過激な映像が撮りたければ監督の愛猫の目玉をくりぬくシーンとか入れれば…?(CGで)
と大変白けてしまいます……。

腹パン嘔吐が少しあるので注意。

ラストまでばれ
感情控えめな「新しき世界」。

みんなが岡田さんのことを好きで、最後はもう取り合いみたいになってて
ちょっとクスっとした。
反隠喩主義過激派の私ですが、
MIYAVIさんとの最後のアクションシーン、なんの隠喩かわかりますよ。
(MIYAVIさん演じるラスボス、キックで粉々に割った瓶を
あとでしゃがんで自分で片付けているところとか味があってとてもいい)

宗教二世の設定は極力表にださないようにしてあるけど重要だと思う…。
最後、裏切られたと逆上して岡田さんを殺そうとすると予想してたが
私の予想をはるかに超えて岡田さんのことが好きすぎたんだなサイコボーイ…。

大竹しのぶさん、出て喋ってるだけで映画の格が上がる。
大竹先生のマッサージ、相場の10倍出すのでやってほしい…。凝り取れそう。

冒頭のシーンで岡田さんが呟いていたのはフレイザー「金枝篇」の祭司殺しの部分。
この本は「地獄の黙示録」でカーツ大佐が読んでいる。
「地獄の黙示録」の元ネタはコンラッド「闇の奥」。
映画内で「闇の奥」って3回くらい言ってる。
(あと闇の奥の主人公には象牙を運搬する役割がある)
(象牙に関しては、そういうルポを読んだと監督はインタビューで仰ってますが)
(予告で「闇の奥は深いぞ」ってセリフを聞いたときは寒くて背筋がぞっとしたんですが
映画を見たら「ああ、書物匂わせかー」って安心しました)
「闇の奥」は有能な人物が地獄のような場所で狂ってしまったのを主人公が看取る話ですし
朗読されていた部分は、王殺しの部分、
よそ者がやってきて祭司を殺し成り代わり、その祭司もまた次の来訪者に殺される、
というくだりです。フンフンなるほどね、と思った。しかし潜入者多すぎ問題。

原田監督、前作でハバネラの使い方にギョっとしましたが
今回もアルハンブラの思い出で「!?」って感じでした。
スペイン繋がり…?と思ったがビゼーはフランス人だった。はい解散。
吉原光夫さんのお歌の使い方はぽかぽかした(笑)。

あと前作のロケ地もすごかったですが、
今回のロケ地もよかった。
福島県 ヘレナ国際ホテル
https://helena-international.jp/location/hotel









2022.09.18 サイトに掲載

2023.05.07 再掲載





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