「 ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密 」










シリーズ3作目。
ダンブルドアに招集された男女は、
魔法界を合法的に支配しようとする
グリンデルバルドの野望を阻止するために行動を開始するというあらすじ。

相変わらず魔法生物は可愛いし、
ニュートと兄はいつになく仲良しだし、
魔法による戦闘はアイディアが優れていて多彩だし、
重苦しく凄まじい愛憎を見せられて息が詰まりそうでしたが美しかったです。

暴力事件で敗訴したジョニー・デップが降板し、
ゲラート・グリンデルバルド役には
新たにマッツ・ミケルセンがキャスティングされました。
(そうしたらまた別キャストによる暴力事件が起きたりしました)

溶けた人間の断片が映るので怖がりのお子さんは注意。

ラストまでバレ

魔法戦は光線銃の代用みたいなのじゃなくて、
使う人のセンスで全然違う戦い方になるのが良くて、
ジェイコブとラリーの暗殺阻止作戦、
あとラリーとテセウスが追っ手を撃退するところが好きです。
壁に閉じ込める魔法とか印象的だった。
ラリーの魔法のイマジネーションが豊かなんだろうな。
(でも食べかけのパンを投げ捨てたシーンでアッ!って言いそうになった)
スキャマンダー先生とテセウスが牢獄でサソリダンスするところとか、
もう絶対子供さん大受けだろうなと思った。

筋はちょっと大味で、
ユスフのエピソードは総カットしてもまったく支障のない意味なし筋だったし、
ただの伝言にゾロゾロ大勢で行って1人投獄されるのも首をひねる感じだった。
(サソリダンスがすごくいいのでカットし難いのは分かりますけど)
今回はメインがダンブルドア校長の過去の罪とその贖罪、孤独で
その描き方はとても良かった。
最近男に執着する男のエンタテインメント映画を連続で見てますが、
本作はとてもエレガントだった。
冒頭がデートで、どうしようかと思った。
この規模の映画にしては珍しく、友情風にぼやかしたりせず
恋愛であると明言してた。まあロシアでの上映はないだろうし、
中国は…?中国はどうなるのかな?知らん。
(同性愛描写が少しでもあると上映されない大国2国)
でも最後の、彼は攻撃して自分は防御だったから戦ったわけじゃない、
っていうのはちょっと何を言ってるのかよく分からなかった(笑)
恋人同士のじゃれあいって判断されたんじゃないの…?
杖を握る右手は猛々しいのに、互いの胸に触れる左手はとても優しい触れ方でした。
結局最終的にゲラートがアルバスの事をどう思ってたかは
原作終盤での彼の行動で概ね察することができます。

今回魔法生物描写は割を食って縮小されたけど
ジェイコブのための杖を出した時ピケットが
「ta-da!」って言ってたの可愛かったのと、
ワイバーンの垂直離陸のアイディアに「なるほど!」って思ったのと、
(ああいう開けた場所のない設定では離陸が難しい)
あと麒麟は、本場中国読みでチリンなのを初めて知りました。
素晴らしい指導者が善政を敷いていると現れる幻獣のようですが
徳の高い人物に頭を下げる設定は、やはり十二国から…?

私のダンブルドア校長の理解は、
若気の至りで優生思想てきなものにハマって、
恋に狂って盲目になったせいで自分の妹が死んだという、
取り返しのつかない罪を背負って、今後は正しくあろう、
愛情に惑わされぬよう、弱者の味方でいようと日々己を律しているイメージなので
麒麟が膝を折るような人とはちょっと解釈が違う。
タイトルもゲラートとの愛ではなく、それにかかっていると思ってる。
(恋愛の件はべつに隠しているわけではなさそうだし)

原作読者としては
アリアナの過去の加害被害の件は、このままスルーか…?というのと
アバーフォース…お前、そんなやらかしがあったのに
本編終盤で兄に対してあの態度だったんかい?というのが少し気になりました。
(これは後付けなので仕方ないですが)

マクゴナガル先生、おかわいらしかった。
でも若い頃から苦労かけられてたの…。
ジェイコブとクイニー、おめでとう!
(別れるに至った問題って解決したっけ…?)
ティナ、本筋に出ないかと思った。良かった。
すごく顔が変わられたように見えた。

ラスト、式を映さずに孤独に見守る校長を映すのはとても良いですね。
自分の人生は諦めて、人々の守護者として生きる覚悟を決めた人の顔だった。











2022.04.10 サイトに掲載

2023.05.07 再掲載





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