「 SNS-少女たちの10日間- 」 原題「V siti」(インターネットで) 監督:バーラ・ハルポヴァー ヴィート・クルサーク 2021年のチェコのドキュメンタリー映画。 童顔の女優3名を12歳の少女という設定で、 SNSに登録すると何が起きるかという実験映画。 相当きつい内容だけども、女児男児どちらも、お子さんのいらっしゃるご家庭で、 父母子、そろって鑑賞なさるべきなのでは?と思いました。 本当はどの世代どの性別でも見ておくべきと思ったのですが、 女児に手を出すなどあり得ないという感覚の独身男女からすると こんな一部の異常者の行動を大げさに扱う映画は、 見るに値しないという結論に至りそうだなと考えました。 誤解を受けそうなのですが、 SNSで少女たちを狙うのは、所謂ペドフィリアだけではありません。 12歳というプロフィールの彼女たちにコンタクトを取ってきた人物は10日間で2458人、 全世界が対象とはいえ人数が多すぎます。 おそらくストレス発散の加虐目的の人間も相当数いると思われます。 内容ばれ ともかく女児とコンタクトをとれた瞬間に性器を開陳する男性が多すぎる。 私は「清らかな女児に醜いものを見せてやるぜ!」という意識だと思っていたが もしかして男性は自分の性器を素晴らしいものだと考える人が多いのだろうか。 おともだちにカブトムシを見せている感じだろうか。 でも劣等感と承認欲求で精神状態が毎日乱気流の少女たちにとって 大人の男性に称賛され必要とされる体験は、 (例えどんなに家庭内で愛されていようとも)何物にも代えがたい麻薬だというのも少し分かる。 なので理想としては親御さんと、このドキュメンタリーを一緒に見て、 その承認がどんな恐ろしい代償を必要とするものか説明を受けるのが一番だが そういう家庭ばかりでもないだろう。 12歳だと言っている女の子相手にセックスの話しかしない、 どう見ても中高年、もしくは初老の男たちが無数に登場して その表情や喋り方や視線には共通するものがあります。 女優さんやスタッフや私たち観客の心が段々無になってきたところで 1人だけ紳士が、というか単なる普通の人間が登場するのですが 対比で神のように感じられて、女優さんもスタッフも感激して泣きます。 (この男性もヤバいのではないかという意見も散見されますが) 途中、少女に対して性的なコンタクトをとってくる男性のうちの1人が (仕込みでなければ)偶然にスタッフの知人で、しかも彼の仕事が 子供にかかわるものだったのですが、ラストで彼の自宅に 女優とスタッフと監督全員でカチコミを掛け、対話(糾弾)しようとします。 そのときに男性が、アニメの悪役のようにすごい長セリフを吐くのですが、 「そんな動画は送ってない。間違って送ったことはあるかも。お前たちはもっと有意義なことをしろ。 もっと解決すべき問題がある。ジプシーは全員売春婦だ。彼等を救え。 ネットで人と会う子供は育ちが悪い。俺の子ではないから俺は関係ない。親の責任だ」 詭弁の教科書のようなものですね。 唐突にロマの話が出てくるのはWhataboutism、 日本語だと「そっちこそどうなんだ主義」(ウイグル話法)と訳されているようです。 このドキュメンタリーも少々「?」という部分はあって、 カウンセラーやボディガードを付けた万全の態勢で女優さんを守るのはいいんだけど ボディダブルを使用した少女のヌード写真を送って反応を見るというのはどうかと思うし (いくらフェイクとはいえ当然その写真はネットで回覧されるだろう) 実際会わせてみるというのも、盛り上がりを期待したバラエティ番組のようだ。 (リアルに会いにやってくるのはどう見ても老人、そして中高年、果ては3P希望の男女まで、 人間というよりも、言葉が話せてモバイルが使える、交尾前の馬みたいな生物たちです。 少女を前にして、大はしゃぎでセックス!セックス!セックス!セックスの話をしまくります。 女優さんたちに危害が及ばなくて何よりでしたが) しかしこのドキュメンタリーの意義は、世界各国のその種の男性に、 「これはもしかして記録されているかもしれない。 自分の映像やテキストが全世界に公開されるかもしれない」という怖れを生んだ所にあります。 各国で類似作品が作られ、話題になりますように。 これまで送ったエッチなメッセージを、カフェで女児(を演じる女優さん)に 音読されてペドフィリア大慌てのシーンはちょっと面白かったです。ちょっとだけね。 2022.02.22 サイトに掲載 2023.05.07 再掲載 戻る |