「 鹿の王 ユナと約束の旅 」











近隣国へ侵攻し属国とする帝国東乎瑠は領土を拡大しつつあった。
一帯には黒狼病と呼ばれる伝染病が長い周期で流行と鎮静を繰り返していたが、
名医と名高いホッサルは流行の兆しを読み取る。
病の鍵は、全滅した岩塩鉱から生き残ったヴァンという壮年の男と、
彼が拾った幼児が握っていた…というあらすじ。

(アニメを見て、よかったと思った方は読まれないでよいです)

2時間で収まるわけないので前後編だと勝手に思ってました。
むしろ4時間で終わったら上出来だと。
でも2時間で終わった。内容の3分の2ほどを切りおとして。
でもよいところも挙げましょう。
まず話が分かりやすい。
あと血の繋がらない父と娘の定番エピソードあれこれがあって感動できる。
斬新な、今風の、風変わりな、小難しい展開がないので、
それらが嫌いな人が馴染みやすい。

でも「こんな内容で本屋大賞を!?」って思ったひとは
内容がかなり違うのでそこのところよろしく。

内容ばれ?

「原作と違う」っていうのは、映画の感想としてはあまりよろしくないのでしょうけど、
私は原作の、ファンタジー世界のスピリチュアルと医学が4:6くらいで拮抗した配分が好きでした。
上巻で伝染病の兆しを把握し収拾を図ろうとしている人々が、
下巻でやってくる夏と爆発感染を恐れていて、私もわくわくびくびくしながら先を読んだ。
しかし映画版は医学のトライ&エラーはざっくりカットされたので、
なんか分からんうちにバーンと血清で治ることになって、不思議な力でパンデミックも抑えられた。
スピリチュアル8:医学2くらいかな?

原作はどの勢力もそうするしかないという事情が丁寧に語られ、
登場人物はそれぞれに皆したたかで、自己犠牲の美化の危うさもきちんと示唆されたが、
映画版は…うんまあそのアレだ。この辺にしておきます。

ヴァンの鼻の傷が、角度によってはちょっと赤面しているように見えて、
常に恥じらいおじさんで可愛かった。








2022.02.08 サイトに掲載

2023.05.07 再掲載





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