「花束みたいな恋をした」










偶然出会った、魂の片割れのように趣味が合うサブカル系男女が
ゆっくりと恋に落ち、そしてゆっくりと情熱が移ろっていく
一部始終を描いた映画です。
日本の実写異性恋愛もの、おおむね私の趣味には合わないのですが、
この映画はとても良かった。
セリフが良かった。情報量が多かった。2人の男女が好ましかった。
全部見終わってから思い出すと、始まり方と終わり方がよい。
(最初のシーンは、もう一度見て表情とか確認してしまった)
若い人にはもっと刺さると思います。
でもオタクではなくサブカルも一切興味ないひとだと、
「こんな人間、本当にいる!?」ってなるかも。
2人が楽しそうにお話ししているお笑いや音楽については全然わからなくて、
小説については半分ほど知ってる、
でも2人の文学的アイドルである今村夏子さんも、「茄子の輝き」も読んだことがなくて
妙に申し訳なくなった。チャレンジしたいです。(面白いのかな?)
そして私はきっぱりとサブカル系ではなくアニメ漫画系のオタクだと思った。
宝石の国や金カムなら分かる。

ラストまでバレ

でもあそこまで好みや考え方が同じ人ってもう二度と出会えないから、
本当に別れちゃうの?やめなよって友達だったら言ってたかも。
出会ったときのテンションと情熱を永久に保っては生きられないよ。

「カラオケ屋に見えない工夫をしたカラオケ屋でカラオケするIT業界の人は大抵、
ヤンキーに見えない工夫をしたヤンキーで」
「うちの親は新卒で就職しない人間を反社だと思ってるから」
とかセリフが面白い。どっちも絹ちゃんの台詞だな。
でもジャンケンは、ない国も結構あるんだよ。

社会人になりたてのころ、
エンタテインメントの摂取が一時的に難しくなるの、よく分かる。
仕事に自分を何割割くかの選択で、9割さくというひとと1割さくというひとが
友達でいるのは難しいかも。
だから麦くんは夫婦になろうって言ったんだし、
絹ちゃんはずっと友達でもいたかったから受けられなかったんだろう。

最初、麦くんの撮ったガスタンクの映画を、
麦くんの1人暮らしの部屋に絹ちゃんが見に来た時、
絹ちゃんのことを性的に見ているショットが全然入らなかったのが
令和の映画だなー、と思いました。
そのまま絹ちゃんが寝ちゃっても、葛藤したりとか全然ない。
あと料理しているシーンは基本麦くんだけというのも好感が持てた。

2人の会話に出てくる作品名はwikipedeliaにまとまってます。
私も自分用にメモを取りながら見てましたが全部書き留めた人すごいな!

こういうタイプの愛情の話で私が一番好きなのは
三谷幸喜さんの「グッドナイトスリイプタイト」です。









2021.12.10 サイトに掲載

2022.05.08 再掲載





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