「パーフェクト・ケア」










面白かったです!
登場人物全員が清々しく悪役なんだけども
全員タフでエネルギーがあって、なんか元気になるような。

医師と共謀して資産家の老人を認知症と診断させ、
成人後見人におさまり 肉親は接見禁止にして排除、
その資産をゆっくりと奪いつくす、法の裏をくぐるやり手の女マーラは、
身寄りのない独り暮らしのキャリア女性に目を付ける。
しかし上等の獲物かと思われたその女性は、
なぜかロシアマフィアとつながりがあり、
マーラはマフィアの攻撃を受けることになるというあらすじ。

マーラが、ガッツと闘志と怒りを隠さない、
パワーに満ちた新時代の女性ヴィラン。
ロザムンド・パイクが怪演されてます。
でも恋人の女性にはすごく優しい描写が何度もあるので、
彼女を魅力的にも描こうとしているのが伝わってきました。
対するロシアマフィアのディンクレイジさんも、妙に憎めない。
やたらこだわりスイーツが何度も出てきて甘いもの好きなのかーという感じ。
お母さんも過去がすごく気になる。確実に人を殺したことがある動き。
全員覚悟完了した悪人ばかりなので貞子VS伽耶子的に楽しめました。
暴力シーンはあります。

J・ブレイクソン監督は「アリス・クリードの失踪」を撮られているが、
両作品の登場人物造形に共通するものがあるので、すごく納得する。
アリス・クリードもとても好きな作品です。(わりと寡作でいらっしゃるのか?)

ラストまでばれ

後見人制度ビジネスについては、頭のいい人がいるもんだなー、と思いました。
こういうカモリストに名前がのぼらないよう、
なるべく名前も顔も既往症も資産もデジタルデータに残らないように、
貧しい格好をして生きます…こわい…。
早く法の修正パッチが当てられるとよいですね。

車ごと沈められたあと奇跡的に生還できて、
すぐにコンビニで牛乳を買って抜け落ちた奥歯を保存したところ、
超人並みのタフネスさにしびれました。

介護施設で銃撃戦をやるようなロシアマフィアが、
なんでマーラたちを狙うときだけ妙に殺害方法に凝るんだよ、
とか微妙なつっこみ所はありますが、ややコメディ寄りの作品なのでそれは別によい。
私の唯一の不満はラストですね。
意図は分かるけど、それまでいい感じの湿度だったのに
急に湿っぽくなるのはどうなのか。
トラックではね飛ばされて、全身バキバキになって、
どう見ても元には戻りそうもない怪我なのに不敵に笑って
「まだやれる!」エンドでよいのではないか…。

日本版を作るなら、マーラは確実に天海祐希さんなんだけど、
悲しい過去がついたり、恋人が消されて息子に換えられたりしそうなので
やっぱりいいです。

2021年12月現在、AmazonprimeとU-NEXTは特別料金で見られるようです。









2021.12.06 サイトに掲載

2022.05.08 再掲載





戻る