「ダーク・アンド・ウィケッド」










自宅療養中の父がいよいよ危篤だというので
テキサスの実家に戻ってきた姉と弟だが、
介護をしていた母の様子がおかしく、会話が噛み合わない。
母は姉弟に来てほしくなかった素振りすら見せる。
そんなある日、母親が…というあらすじ。

序盤は「レリック -遺物-」と同じですが
こちらのほうが血みどろで陰鬱なホラーです。
抵抗のすべなく人間が一方的にボコボコにされる。
今年度見たホラーの中で一番痛そうで賞
(台所のシーンは邦画にもありましたが、
こちらのほうが丁寧ですね。あと本国での公開はこっちが先)
あと動物の残虐なシーンがあります。排尿あり。
あとなんだっけ、嘔吐もあったような…。
全方向に耐性のある人むけ。

ラストばれ

勝利条件が見えない。
父親を看取れば彼の魂は守られるという話だと思っていたが
どうもそうではないらしい。
負傷兵を餌にチーム全員殺傷を狙う戦法のように、
父を餌に周囲の人全員を地獄に落とす、
そういう作戦だったのか?
悪魔は、人間の体を小突いたりなどはできるけど、
致命的なダメージを与えることはできないので、
ああやってこまめに精神を削って自死を誘うしかないのだろう。
結局映画内で自然死以外の死因で死んだ人間は4人だが、全員自殺だ。

肉親の姿を見せるのは「エクソシスト」からの伝統芸だな。
お前(悪魔)はいつもそれだ。
隠喩は嫌いですが、もしかすると悪魔は介護のメタファなのかな?
とも考えました。
そうすると「お前も逃げろ。自分の身を守れ」というセリフが重い。
お姉さんの見るのが、まだ生きている父親の姿なのも筋が通ります。

一か八かyoutubeで「恐怖!悪魔の出るヤギ牧場!」動画を配信して
州中の若者が何十人も集まってキャンプを始めたら、
悪魔も出現できなかったかも。なんかそんな気もします。
恐怖とか弱点ってオーダーメイドなので、何十人の対応は出来ない的な。

ホラーとしてはなかなか良かったと思いますが、
唯一の欠点は音での驚かしが何度かあるところ。音って、
バアアアアン!!!「なんだ、動物か…」
バァアアァン!!!「なんだ、自分の姿が映ってたのか…」とか時々あって
その程度であんなでかい音鳴らすなよ…って思うんですけど、
この映画は、
バアアアアァン!!!でタイトルが出たので
ウルセェェェェェェェ!!!! タイトルでそんなでかい音鳴らすな!
バカなの!!!って思いました。

恐怖のアイコンが黒髪の女から全裸の年寄りになりつつある気がする。









2021.12.02 サイトに掲載

2022.05.08 再掲載





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