「アイの歌声を聴かせて」 「イヴの時間」や「サカサマのパテマ」など、SFに強い印象のある吉浦康裕監督。 AIのお話。今回はSF要素がソフトになって、アクが弱まり、 歌のシーンが多用されるなど、ヒットアニメ作品をよく研究された印象の作品。 SF青春初恋友情エンタテインメントものがお好きな方におすすめです。 ピュアピュアな中高生と、あとまあ大学生も見に行くとよい。 主人公サトミのクラスに転校生がやってくるが、 彼女はサトミの顔を見るなり、幸せか否かを尋ねてくる。 彼女は実は、サトミの母親のプロジェクトチームが開発するロボット「詩音」だった。 舞台は地方都市なんだけども、巨大企業の本拠地があって そこに暮らす人々は多くはその企業の従業員という設定に なんか妙なリアリティを感じました。 家のセキュリティや家電はAIが管理している描写でしたが アレクサなどを使っているお家は現在もうすでにあんな感じなのかな。 終盤までばれ ホワイトな人形使い(攻殻)の話という感じ。 「竜とそばかすの姫」と比べて、こっちのほうが好きというかたも結構いらっしゃると思う。 おそらく制作側が意図していないだろう点に少しホラー映画要素を感じたのですが、 学校の許可なくヒューマノイドを人間だと偽って入学させる行為、これはあり得ない。 まだ法整備されてないのかもだけど絶対にあり得ない。 あと詩音に関わっていた未成年の私物を警察の介入なく没収もありえない。 市民の大半を雇用するトヨ…じゃなくてホシマに支配されすぎではないか? もしかしてホシマが人を殺しても、あの地域の人たちは口をつぐむのではないか。 等々、巨大企業の支配する閉鎖社会を感じました。 ヒロインのお母さんも同様の理由でちょっと怖かったのが、 ヒューマノイドが事故を起こして生徒が死んだら責任なんか取れっこないっていうのと、 詩音の1日の記憶をチェックしたりしないのか、 あと平日の昼間に自分の娘が自宅で男女複数人とたむろしていて何か思う所はないのか、 そもそも娘に家事全般を任せて、学校での孤立にもまったく気付いている様子はないっていうのは、 ちょっと、大丈夫!?って思いました。 お仕事お忙しいのと、娘のために稼がないとというのは分かりますけども。 同じくホラー要素で、 詩音の表情、アニメなのに妙な不気味の谷があって、 「ターゲットを変更することにしました」のあたり、 絶対にその展開はないと分かっていても 「邪悪なヒューマノイドが本性を現したぜ…」という雰囲気がギンギンにあって 少し笑ってしまいました。 ホシマの二足歩行ロボット、三太夫も詩音も、人間相手に柔道ができるというのは バランス制御がすごいなと思いました。片足で立って体重移動するのは、 微妙に揺らぐ重心を足の裏と指で感知してコントロールすることが必要なので。 劇中劇の「ムーンプリンセス」どんな話だったんだろう。 王子同士が事故でキスをしていたように見えたのが大変気になりました。 土屋太鳳さん、とても歌がお上手なんですね。知らなかった。 英題が「Sing a Bit of Harmony」なので、 「アイ」は(トリプルミーニングだけど)1ビットなんだな。 2021.11.09 サイトに掲載 2022.05.08 再掲載 戻る |