「モーリタニアン 黒塗りの記録」










アメリカ同時多発テロが起きて間もない頃、
一連のテロの実行犯を選別し、指導した嫌疑をかけられ、
14年拘留されたのち釈放された、
モハメドゥ・オールド・サラヒ氏の手記を元にした映画。
彼を弁護する弁護士にジョディー・フォスター、
起訴する検事はベネディクト・カンバーバッチが演じます。
当然ながら拷問のシーンがあるので注意。

「ラストキング・オブ・スコットランド」の
ケヴィン・マクドナルド監督。

ラストまでバレ

セリフにもありましたが、罪のない市民を殺した酬いを
受けさせなければならないが、
それは「誰でもいい訳ではない」んですよね。
そう、でもこれは難しい。
何故ならテロリストたちは、殺した3000人近くの人々の行いを
いちいち吟味したかといえばそうではないからです。
集団の怒りは血を見ないと治まらないようなところはある。

友人の喉を切り裂かれても、
仲間たちから裏切り者と白眼視されても
誰でもああいう判断ができるかと言えば、
それはちょっと難しいと思う。
それと当時はテロの第二波を真剣に警戒し、
潰そうとしていたようなので、
単純に逮捕拘留を非難もできないが、
テロ関与が立証できないまま7+7年拘留は、
なんらかの通達、または判断ミスではないかと思う。

さすがに回復不能な身体的ダメージを与える拷問はしないのだな。
でも男性への性暴力による拷問、同性じゃなくて異性がするんだ。
(映画による改変かもしれませんが)

びっくりしたのは、拷問による証言であること、拷問内容がきちんと記録されていて、
その記録が保管されていて、そして簡単ではなかったにしろ
開示請求すれば見られるということ。すごい。
いや、それが当たり前なのかもだけど、
なぜか記録を残さなかったり、あっても即座にシュレッダーで処分されたり、
開示請求しても応じない国もあるようなので。

ラストに本人が登場されますが、歌とか歌われていて
驚くほど陽気でいらっしゃった。
きっと、並外れた強い精神の持ち主なのだろうな。
(拘留中に自死されたひともいることが作中描かれている)
または、壊されなかった自分を見せることによる一種の意志表明なのかも。








2021.11.05 サイトに掲載

2022.05.08 再掲載





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