「TOVE トーベ」 ムーミンを創造したフィンランドの画家、小説家、漫画家 トーベ・ヤンソン氏(長年TOBEだと思っていたら、TOVEでいらっしゃった)の伝記的映画。 アトリエを構えてからの、新聞記者アトス、舞台監督ヴィヴィカ、 両名との出会いと恋愛とその結末を中心にした映画です。 どっちかというと私はトーベ氏×トゥーリッキ氏派なのに、 間違ってヴィヴィカ氏×トーベ氏のブックを買ってしまった虚無の気持ち…。 ラストまでばれ (注意: 冒頭12行は愚痴です) 「リンドグレーン」の時も書きましたが 女性芸術家の映画となるとどうして創作よりも 性愛とか父へのコンプレックス…みたいな話になるんだろう。 製作者は誰と誰がまぐわったとか孕まされたとかに興味バチバチで それこそがエンタテインメントなのかもしれませんが、 こっちは本当にビタイチ興味ないんでゴシップパート終わるまで仮眠をとりたいくらいですよ メロドラマ終わったら爆発シーン入れてくれたら起きるからさ…。 もしこれがディック・ブルーナー氏やチャールズ・シュルツ氏、 手塚治虫氏の映画だったら、不倫とか恋愛遍歴(ベッドシーン連発、 嫉妬とか別離とか)や母親へのコンプレックス…って内容になったろうか? でも北欧の男性の伝記映画を見たことないので、 今後見る機会があってそっちも下半身映画だったら諦めます。愚痴終わり。 冒頭、第二次大戦で破壊された街を歩くトーべが、 全く違うムーミン世界の情景を描写しながら歩くシーンは、 現実世界と空想世界の関係の表現としてすごくすごく良かった。 トーベはお家賃や食べるものにも困るくらいお金がないのに、 彼女には教養があり、アトリエには歳書がずらりと並んで、 お酒も煙草もバンバン飲めるところに(国の?親世代の?)豊かさを感じました。 アトスとも不倫、ヴィヴィカとも不倫で、 当時のフィンランドは不倫を罰する法がなかったのか?という気がしますが、 同性との浮気はノーカン!みたいなトーベの俺様ルールは笑ってしまいますし、 人の配偶者と寝ておきながら浮気に怒るというのは意味が分からない。 実際のトーベはポリガミスト、まではいかないけど、 1対1の関係に拘らないタイプだと思うので、ああいう展開にはならんのでは?と思いますが。 あとアトスと不倫→アトスの新聞社から仕事をもらう→ ヴィヴィカと不倫→ヴィヴィカのお父さんから仕事をもらう、という順番で描くと、 枕営業みたいだからよしなさいという気はした。 ヴィヴィカとの体験がどうだったかアトスに聞かれたトーベが言った 「息をのむほど華麗な竜が舞い下りたようだった」という言葉が綺麗で、 ムーミンに竜の出てきた話があったなと思って帰ってすぐに再読しました。 むかしムーミン展に行った時、パレットの実物を見たが、 でかくてびっくりした記憶がある。 あれで作業できるなら相当な腕力の持ち主だろうな…と。 配線とか薪割とか、家周りのこと一式できるのは格好いいですね。 ちょっと憧れました。(後半1時間は無人島の話になると思ってました) 1950年前後頃、フランスでホラーが大流行りしてたというヴィヴィカの話はとても気になりました。 ハマーフィルムは微妙にまだだし、一体なんだろう。国産ホラーだろうか。 ムーミンはどうして怒らないの?彼は臆病なの…というやりとりで、 「えっあの不機嫌を隠しもしないトロールが!?」って思ったんですが、 怒るの定義が違うのかな? 最後のご本人映像、全力で踊っておられておかわいらしかったです。 ところで映画とは全く関係ないトウーリッキ氏の話を開いてください。 私がトゥーリッキ氏のエピソードで一番好きなのは、 ヤンソン氏が森で釘をぶちまけてしまって「ウワー!拾うの大変!」って思ったら、 トゥーリッキ氏のバッグの中から磁石がス…と出てきて、 「なんで!?」ってなった話です。ご静聴ありがとうございました。 2021.10.07 サイトに掲載 2022.05.08 再掲載 戻る |