「デ・パルマ」










ブライアン・デ・パルマ監督が自らの監督作品の製作事情を
年代順に語っていくドキュメンタリー。
私は「キャリー」から入って初期作品を結構見ているので面白かったです。
思った以上に監督がアルフレッド・ヒッチコック監督の
「めまい」が好きなのが分かった。私も「めまい」は好きだ。
ヒッチコック作品ベスト3には入れるだろう。

作品を年代順に見た印象は、サスペンスが基本で時々スプラッタ表現があり
アクセントカラーが赤、画面も全体的に赤みがかっていて
画面分割表現が特徴。
監督曰く、1画面でも手前と奥に別々の情報を入れたりするそうだ。

「リメイクの監督たちが、私の回避した失敗をしているのを見るのは愉快だ」
とおっしゃっていて、
それは「キャリー」についてのコメントですが
確かにパルマ版のキャリーを越えるのはなかなか難しかろうと思う。
ドラマ版、母親は原作に忠実に心臓発作で死ぬが
「胸を掻きむしって死ぬ?正気か?」ってところ、すごくいい笑顔でした(笑)

白人の高齢男性だなと思うところもあって、1960年代の黒人民族主義運動に対し
「当時の黒人は白人を排除しようとしていた」というお言葉、
まあ素直な感想なのでしょうけど、カットしたほうがよかったのでは…という気もした。
飲食店やバスで黒人専用席があって、そこ以外の利用を禁じられた時代の話だから。
女性の扱いが酷いと非難された、と仰っていて
これは高齢の男性に説明するのはとても難しいだろうけども
展開上必要があっても、か弱い女性を怯えさせ、首を切ったり頭を潰したりしてはいけません、
という意味じゃなくて、
女性を怯えさせて、首を切ったり頭を潰したりするシーンを皆が楽しめるサービスシーンだと思って、
展開を動かしてはいけません、という事なんだけど、
これ高齢の男性じゃなくても伝えるの難しいからなあ。

CGに対して否定的でいらっしゃるのだが
それは私もそうかもなとは思う。あれ使うとどの監督でも同じ画面になっちゃうよね。

なんとなく最近の映画は見ておられないような印象を持った。
「映画監督は、結局30〜50歳で作ったものが最高」
とのことだが、これは人による。
リドリー・スコットは60歳を越えて「グラディエーター」や「キングダム・オブ・ヘブン」
を撮っているし、
イーストウッドは70歳を越えて「ミリオンダラー・ベイビー」や「グラントリノ」
を撮っている。
監督業は、体が強くなければならない、とのことで
それは確かにそう。虚弱な映画監督を知らない。

そして締めくくりに、「監督業は手抜きや失敗などを永久に残す仕事」
と仰っていた。
文章や漫画や歌曲、他のジャンルに比べて確かに、
手抜きをしなければならない状況が多く発生しそうではある。
そして失敗も、他のジャンルに比べて分かりやすいように思う。










2021.09.12 サイトに掲載

2022.05.08 再掲載





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