「シャン・チー テン・リングスの伝説」 マーベル・シネマティック・ユニバースの第25作目。 ホテルの駐車場係をしているショーンは、 同じ大学出身で親友のケイティと毎日ゆるく楽しんで生きていた。 しかしある日、バスに乗っている最中に襲撃を受け、 普段はおとなしいショーンが別人のようになって敵を倒したのでケイティは驚愕する。 彼はすぐに妹を助けにマカオに行かなくてはならないと言い出すが… というあらすじ。 今回、これまでとは全然違う作風で 登場人物製作スタッフの多数をアジア人が占めているそうです。 マンネリ化回避、多様性の尊重でしょうけど、でもしっかりとMCUです。 配信ではなく劇場公開されました。 大きいシアターがまずまず埋まっていて、やったー!!ってなりました。 チャン・イーモウ監督の「HERO」とか、 アン・リー監督の「グリーン・デスティニー」好きなので、今回の路線、楽しかった! ラストまでばれ アクションの変化が特に大きくて、カンフーベースであるのは勿論だけど、 父と母の出会い、兄と妹、父と息子の交感というか、 あー、これもしかして、格闘で感情を表現する、 ミュージカルの歌の代わりにアクションを使うやつでは!?って閃きました。 先祖から受け継ぐものを特に意識するってアジアだなあと思うんだけど、 直線的で力強い父の剛拳と、相手の力を受け流すテクニカルな母の柔拳、 シャン・チーがどちらも使いこなすことでそれを分かりやすく見せてくれた。 格闘技以外だと、アイテムとしてのテン・リングスが面白くて、 攻撃、防御は基本として(無限師匠、マグニートーの使う鉄片のように)、 足場に使ったり、あと凶悪な使い方としては 大きい生物の内臓に入れて掻き回したり、今後もあっと驚く使用方法が見たいです。 人物は、主人公シャン・チーが育ちのわりに男性っぽさの薄いおっとりした人で、 そのへん親友のオークワフィナのキャラクターでうまくバランスがとってあります。 オークワフィナ、前出演作「ラーヤと龍の王国」ではキュートな龍だったので、 「その龍、オークワフィナでは…?」という気がずっとしてた(笑)。 今後も活躍してほしいし、アベンジャーズの色々な人と「or…?」でカラオケに行ってほしいし、 ホークアイに弓習ってほしい、スパイディとシャンチーの親友自慢合戦に巻き込まれてほしい。 シャン・チーとは、そういう仲なの?って皆に気遣われつつずっと親友でいてほしい。 (ラーヤとクレイジーリッチを見たら、誰でもオークワフィナの親友になりたくなる) ウォンさんがめちゃ目立ってましたが、彼は何をやっていても 「ああ、お金がないんだろうな…」で納得される部分がある。 あとトレヴァー、まさかの再出演、まさかのコメディ枠でアジア組合流。 アイアンマン3でテン・リングスを名乗ってたとかすっかり忘れてたよ。 ミシェル・ヨー様、最近「コンティニュー」でも 主人公を鍛えるカンフーマスター役をされてましたが、 今回はあの京劇ティーチャーを一撃で沈めるんだろうなと思ってたんですよ… そうしたら驚きの吸引力のアレにチュルッと吸われてしまって。がっかり中ボス…。 もう少しご活躍シーンが見たかったです。 そしてトニー・レオン演じるお父さん。 MCU恒例のサイコパス父か!またか!と思ったんですが、 なんか今回、子供を酷い環境に置いてはいたものの、 そして戦争中は相手兵士を殺してはいたけど別段一般市民をどうこうしてはおらず、 村を焼けとは言ったが焼いてもおらず、今回はヴィランのいない話だったとも言える気がした。 最愛の伴侶を失って気が狂ってしまって、 子供もある程度分かっているので距離をとっている、という。 彼は一から十までやり方を間違っていて、 ペンダントも「お母さんと会えるかもしれないからペンダント貸して」って言うべきだし、 「母親が死ぬのをただ見ていた」って当時子供だった息子に絶対言ってはいけなかった。 それにしても千年生きた人がダンスダンスレボリューションを 妻とキャッキャプレイしているの可愛すぎた。せこい妨害をしているのも可愛すぎた。 奥さんは、この映画唯一の不満点ですが、またもや死ぬ母かーい!っていう。 (折り紙のところケン・リュウの「紙の動物園」だなと思いました) (ところであのカードの絵はお父さんが描いたのかな?) 何か新しい別のルートがあると思うんですけどどうでしょう。 彼女は、その人がいると周囲が円滑に回るってタイプなんだけど、 そのせいで周囲の人がコミニュケーション能力を失って、 彼女がいなくなると何もかもがメチャクチャになってしまった。 妹さんは、徹底的に放置されてああいう結末になったけども むしろお父さんの性質を受け継いだのは妹さんで、彼女を後継者にすべきだった。 今後は善悪ニュートラルな存在になるんかな?ケイティとは意気投合したみたいなので 彼女とは連絡を取り合っててほしい。 今回カラーの全然違う作品でも、しっかりとMCUで、 それはアイアンマン3との設定のつながりや、Dr.ストレンジからキャラクターが出張してきたり、 スナップ後の社会、潤沢な予算によるビジュアル・話運び両面のクオリティ維持、 色々な印象の複合的なものだなと思った。MCU世界は広大で強固。 「サーカスにようこそ!」という気持ちになりました。 波乱の幕開けです。 余談ですが、主人公が中国にルーツを持つこの作品が 中国では公開されないことが決定したらしく、興行的には手痛い流れ。 最近中国ではオンラインゲーム規制、アイドル活動規制と 国内の資本主義化を締め付け直す方針のようなので、その一環なのかもしれません。 2021.09.05 サイトに掲載 2022.05.08 再掲載 戻る |