「竜とそばかすの姫」










細田守監督、原作なしのオリジナル6作目の長編アニメ映画。

子供のころのある事故が原因で、
大好きだった歌が歌えなくなってしまった女子高生のヒロインは、
友人の誘いで大規模なSNSに登録するが、
そこでなら歌声が出せると気付いた彼女は歌い、
その非凡な歌声はヒロインを、世界レベルの有名な歌姫へと押し上げる。
初の仮想空間コンサートは、しかし1人の侵入者によって妨害される。
彼は粗暴な振る舞いが問題視されている「竜」というアバターだった…というあらすじ。

監督十八番の仮想空間の話です。
オリジナル6作品の中では「サマーウォーズ」の次くらいに好きかな…。
細田監督作品のヒロインに、やっと人格のある女友達が。
あとそのお友達、めちゃ毒舌なんですが可愛く描かれてる。

都会ではない僻地に生まれ、自分を地味で不器用だと思っている少女たちにとって
仮想空間の中で変身し、世界中の人々に関心を持たれ愛されるというのは、
キラキラと輝く物語なのではないかと想像する。

歌が良いです。邦画アニメにおいて、歌はやっぱり正義。
ヒロインのアバターであるベルの表情や衣装や動き、個性的だけど美しい。
それと美女と野獣がモチーフになっているのですが、
妙にディズニーっぽいな?と思ったら
CGキャラクターデザインがディズニーで20年ほど仕事をしていた人だった。

ラストばれ

当たった映画の要素を抽出して、すごい打ちにきてらっしゃる。
ただ、多くの人が指摘していますが、我が子を虐待する中年男性に
女子高生を1人で会いに行かせる中年女性たちは完全にやばい。

理屈としては分かるんです。
雨の中を走って転倒するヒロインを描きたい。
1人で立ち向かうという大きな前進を描きたい。
1人で来てくれた、1人で立ちはだかってくれたというインパクトが必要。
そこを変えると次々変更を余儀なくされるのは分かる。

もうそれだったら、大人を出さない選択をすべきだったかも。
高校生だけでお金を出し合って、1人分のバスチケットを買って、
しのぶくんが行こうとするけど無理にヒロインがチケット奪うとか。
(もしかして車がないとバス乗り場までたどり着けないのかもだけど)

そういえば破壊された女性の絵を見たときは
「ハハーン、野獣の正体はお父さんだな。
仮想空間なら素直に労わり合えるというやつだな。
クリオネはお母さんの遺骨から違法に作ったアバターだな。
最後野獣に「お父さんを返して」って言うやつだな」
って思ったんですけど、全然違ってショックでした(笑)。

ヒロちゃんめちゃかわいい。カミシンが染谷将太さんて全然気づかなかった。巧かった。
ルカちゃんもいい子でよかった。女子高生たちの水面下の争いを
ウォーシミュレーションで表現するやつとかああいうのは好きです。
しかし監督、なにげにネット一般大衆への信頼がどんどん欠けて
イメージがじわじわ黒いものに変わりつつあるような…。











2021.07.22 サイトに掲載

2022.05.08 再掲載





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