「スーパーノヴァ」










コリン・ファースとスタンリー・トゥッチが
20年連れ添ったカップルを演じます。
認知症を宣告されたスタンリー ・トゥッチの希望で
キャンピングカーに乗って旅に出るというお話。

私はあまり病気悲恋物は好きではないのですが、
この映画は積み重なった年月を感じる
落ち着いたお話で良かったです。
若者同士の恋愛ものは同性異性関係なくどうしても、
勘違いからの諍い、嫉妬、精神状態の高低、怒鳴り合い…
みたいなシーンが必ずあるのですが
彼等は互いへの尊敬と信頼があって、
己を律しているので安心して見られました。

スタンリー ・トゥッチが小説家で、おそらく少し変わり者、
コリン・ファースがピアニストで、愛されて育った、
大型犬のような輝く愛情を持った男です。

同性愛の映画、認知症の映画というよりは、
高齢者の恋愛映画である部分が多いように思う。
差別や介護の地獄面はあまり描写されない。
小説家の家族は一切出てこない等、匂わせる程度。

美しい風景と、愛情深い2人の表情と言葉、仕草。
たっぷり堪能しました。

ラストまでバレ

服を上手く着られないシーンは
認知症スリラー「ファーザー」でもありました。
が、あの父親が介護者に対して頭が悪いの愛想がないのと
好き放題言い散らして、
当たり前のように世話を焼かせていたのと比べると、
この映画の小説家の遠慮深いこと。
(まあ、相手が自分の子供ということと、
本人の個性もあるのかもですが)
私は同性愛だからと言って、
不誠実や無理解や諍いと無縁であるとは全然考えませんが、
この映画の、家事を分担できないつらさ、
身の回りのことをすべてやってもらうつらさ、
というのは男性同士のカップルでないと表現できなかったし、
観客の理解も得にくかったかなと思います。

ピアニストの血縁の人達がみな素晴らしくいい人達で
そりゃあここで育ったらこんな風に、
大型犬のような黄金の愛情を持つ男になるよなあと思いました。
姪っ子っちゃんが、好きな人の話をするとき
まず性別から言うのが、スーパーリベラル。

自殺に対する考えの違いでラストの印象が変わる気がしますが、
私は本人がよく考えた末の自死なら止めない派。
すべての自殺が発作的で、気の迷いだとは私は思わない。
なぜ自殺がいけないことなのか、単なる宗教観ではないのか、
周囲が悲しむから自殺してはいけないというのは、
周囲が心配するから結婚しなくてはいけないのとどう違うのか。
ただ、あなたがいなくなると自分も死ぬから
だから自分がどんな手段をもってしても、
あなたが死ななければならない要因を取り除くから
だから生きてほしい、というのはありだと思います。
もちろん決定権は本人にあるけど。
(あと、あなたは失敗して酷いことになるからやめなさいという忠告は親切だと思う)

コリン・ファースがまたもや置いて行かれるゲイの人。
でも全然違う人物に見えるのがすごいです。

スタンリー ・トゥッチの睫毛の長さに初めて気付きました。











2021.07.04 サイトに掲載

2022.05.08 再掲載





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