「罪の声」










グリコ森永脅迫事件を題材にしたフィクション。
京都でテイラーとして店を構える主人公は、
古い道具箱を開けたときに、見覚えのないテープを発見する。
そのテープには、子どもの頃の自分が、
グリコ森永脅迫事件の身代金受け渡しの指示を
読み上げる声が録音されていた…というあらすじ。

犯人からの指示の声、少女と、2人の子ども、
3種類が使われているそうなのですが、
彼等に焦点をあてたお話です。
同じ事件を題材にした村先生の
「レディ・ジョーカー」とは全然切り口が違って面白い。

関係者の話を聞いて、出てきた名前の人物に会って
また話を聞いて、出てきた名前の人物に……って、
延々続いていくところは、
昔のミステリアドベンチャーゲームみたいだった。
京都、大阪、滋賀がたくさん映ります。あとヨーク。
テーラー、どこだろうと思って検索したら、
八坂神社に近いとても良い場所ですね。

ラストばれ

達者な役者さんが多く、
星野さんは周囲の地獄をただ受け止めるしかなく涙する、
優しい役に合ってました。
主役くん、奇跡的に何も知らずに成長出来て
あんな慈悲深い人間になれてよかったね…。
というか、反社と関わりをもってはならない。
たとえどれだけ気さくに見えても、富を与えてくれても…。

ドラマによく出てくる、初老おじさんファンタジーテロリストとは違い
市民1人1人がテロリストになりうる可能性を描いたのは面白い切り口。
その怒りは時に母親の、子への愛情を凌駕するくらいの強いもの、
という描き方も日本の作品にはあまりない。

この映画の中に出てきたオランダの誘拐事件、
あれも2015年映画化されてます。「ハイネケン誘拐の代償」

あの指示の声の3人は現在リアルに中年となって
生きておられる筈だが(たぶん)、何を思っておられるだろう。
いまだと読み上げソフト使用ということになるだろうか。
それとももう電話など使わないかな。

時々こういう未解決の大事件ってありますよね。
(関西で言えば王将社長射殺事件とかも未解決のままだ)










2020.11.10 サイトに掲載

2021.05.05 再掲載





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