「リチャード・ジュエル」










イーストウッド監督作品。
野外イベントで不審な荷物を発見した警備員リチャード・ジュエルは
事態を軽視することなく動いたため、
結果爆発による死者は出たものの大規模な被害は食い止められた。
英雄として祭り上げられるリチャードだが、
以前の彼の雇い主がFBIに、過去の彼が自警行為に傾倒し
異様な行動を繰り返していた事を通報したため、
捜査陣は一転リチャードを容疑者として扱い始め、
リチャードはマスメディアからの攻撃にさらされる…というあらすじ。
実話。イーストウッド監督の追っているテーマのうちの1つ、
コントロール不可能な世論の暴走もの。

実在の記者キャシー・スクラッグスさんが
作中で性行為と引き換えにFBIから情報を得ている描写があり、
故人に代わって友人の方たちが
それは事実ではないし彼女への冒涜だと制作会社に訴えた記事を読んで、
映画館へ行くのはやめておきました。

内容ばれ

銃器のコレクションがすごいし、明らかにホモフォビアだし、
過去に警官詐称で捕まってるし、カッとなってすぐ見境なくなるような人物、
と畳み掛けられるので、最初からジュエル氏の行動を見ていて
犯人じゃないと知っているのにもかかわらず、
この人がやったのでは…と思える描きかたがすごい。
相変わらずの匙加減、上手いなーと思う。

反面、ものすごく悪辣に表現されている割に、
母親の会見を見て涙ぐんだり、
ジュエルが時間内に電話を掛けられないとあとになって検証したり、
女性記者の描きかたは雑だった(記事にするまでに検証するだろう普通)。

最近のドラマ「THE BOYS 」シーズン2であった短いシーンで、
母と同居するふくよかな白人男性、
国を愛し、おそらくあまり裕福ではない彼が事件を起こすのですが、
母と暮らす裕福でない太めの英雄願望を持った白人男性がアメリカにはそんなに沢山いるの?
上記条件に合致するだけで事件の容疑者にされるくらいに?
(映画内でも同様の英雄願望持ちによる自作自演事件が幾つかあげられる)

最後にテロップで現実のリチャード・ジュエル氏が44歳で亡くなった旨が出て終わります。









2020.10.29 サイトに掲載

2021.05.05 再掲載





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