「ストレイ・ドッグ」










主人公は過去にギャングへの潜入捜査を経験したが
構成員の大半は逮捕できたものの、死者の出る結果に終わった。
彼女はその後結婚、離婚し娘や夫とは今も交流がある。
ある日、彼女の職場に郵便物が届くが、
それは過去の事件の首謀者からだった…というあらすじ。

中年女性が主人公のハードボイルド映画って本当に少ないので
これからもっともりもり増えてほしい。
恋愛や家族の問題にフォーカスされて感動ものになったりしないやつ。
そして内面の話に終始しないやつ。

ニコール・キッドマンが主役ですが容赦ない老けメイクで、
顔も首も手の甲もすごい。
若いころの潜入調査の回想と、現在の彼女のシーンが交互にあります。
そして男性主人公ハードボイルドに出てくる、美しく夢のような運命の女、
これの男性版をセバスチャン・スタンが演じます。

ラストばれ

最後で、あ…なるほど。となる系。

主人公が善良でないところとかもよかったな。でも悪人という訳でもない。
生まれてからずっと怒りと共に生きてきて、とうとうその火に飲み込まれた。
でも運命の男と出会えて、娘がいるのが彼女の救い。

銀行強盗など、動のシーンはすごい緊迫感だけど
静のシーンがやや長く感じられた。
ところで雪山に行ったのは、明言されなかったけど娘と死ぬつもりだったんだろうか。
しかしなぜ何年も経ってから?

セバスチャン・スタンはボスのイライアス役をやりたかったとのことだけど、
彼はマーベル映画でずっと主人公のために存在するキャラクターを演じてきたので
たぶん独立した人物を演じたいのだよね。
でも彼は現実っぽくない、消えてしまいそうな優しくて甘い印象の人間が似あうので、
クリス役にした監督の気持ちもとても分かる。
本来は正義感の強い人物だが、そこを彼女のために曲げる苦悩の演技がよかった。
「いいお尻」「君のものだ」ってところどちらも可愛かったな。

余談ですが、ギャング団のやばいボスが若い女をとっかえひっかえよろしくやっている、
その年齢をわざわざセリフで言って「19、20歳」っていうところに配慮を感じた。

両方見た人なら分かってくださると思うが
1993年制作の、ケビン・コスナー主演イーストウッド監督作品を思い出した。
(話が似ているとかではないです)










2020.10.25 サイトに掲載

2021.05.05 再掲載





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