「シカゴ7裁判」










監督 アーロン・ソーキン
脚本 アーロン・ソーキン

言葉を武器にした少年漫画的バトルと言っても過言ではない
ソーキンの脚本。
ラップのように、歌のように、常に選び抜かれた言葉が躍ります。
Netflixでも見られますが、
集中して、セリフのリズムをびしゃびしゃ浴びるためには
やはり劇場鑑賞がよいと思います。上映期間が短いので注意。

1968年、アメリカはベトナムから手を引くべきであるという市民たちが
公園に集いデモを行っていた。
彼らは民主党全国大会の会場へ向かおうとして
制止する警官隊と衝突、多数の怪我人を出す。
司法長官は、いくつかの団体の代表者たちを
共謀して暴動を扇動したという罪で有罪にするべく
検事に指示を与える…というあらすじ。

エディ・レッドメイン、マイケル・キートン
ジョセフ・ゴードン=レヴィット等豪華出演者。

ラストばれ

冒頭から秒針のリズムで繰り出される言葉ですが、
緩急も効果的で
たとえばブラックパンサー党のボビー・シールの
腹心のひとが射殺された知らせを持っていくシーンは
言葉の奔流がピタっと止まり印象的だった。
お前は古い価値観に反抗しているだけだが、俺の戦いは違う、
という内容の彼のセリフが重く響いた。

あの猿轡をかまされたボビー・シールのシーンといい、
被告側に有利な陪審員に脅迫状が届いたシーンといい、
設計通りの厳密な手順により100%の効果が出ているのに痺れる。
ジョセフ・ゴードン=レヴィットの、ドン引きの表情と言葉が特に効いてた。
裁判官の歪んだ判断力描写がすごかったが
後世の弁護士投票で「不当な判決」派が多かったことから、
客観的に見て問題があったんだろうか。
あと右派市民に対する畜生以下の描写も同じくすごかった。

エディ・レッドメインの最後の、
くどいくらいタメてからのキメが歌舞伎か!ってくらい決まってた。
いいラスト。
世界が見ている、というのはまさに今、色々な国で必要な言葉。
よその国だけではなく自分の国でも。

そういえばアレン・ギンズバーグがぴょっこり出てきてふいてしまった。
いや、実際に参加しておられたんだろうけども。










2020.10.19 サイトに掲載

2021.05.05 再掲載





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