「ミリオンダラー・ベイビー」










イーストウッド監督、2004年作品。
内容が明らかに私好みではないので、
テレビ放映時にちらちら見たりなどしていたが
今回最初から最後まで見て、やはり好きではないけれど
本当によく出来ている作品だなと思った。
イーストウッド監督作品の中でもベスト5に入るのではないか。
モーガン・フリーマン演じるジムの従業員や主人公の家族、
新人ボクサー、神父、短いシーンで的確に描写してある。

偏屈なトレーナーのイーストウッドは
ボクサーとのコミュニケーションがうまくいかず期待を裏切られてきた。
そんな折、ジムに所属希望できたマギーに会うが、
女性ボクサーは採用しないと冷たく追い払う。
しかしモーガン・フリーマンが彼女の才能に気付き、
イーストウッドも嫌々ながらボクサーとして面倒をみるが
やがて彼女はどんどんと頭角を現す…というあらすじ。

ラストばれ(貶して褒めて忙しい)

この容赦のない無駄のなさには痺れるし、名優の演技も100%発揮されて
文句のつけようがないのですが、
悪い父親に対する優しい視線とは対称的に
悪い母親に対する手加減のなさは半端ないなと思います。上手いだけに際立つ。
それとこの映画の話ではないのですが
やっぱりこの頃の作品と比べると、近年の作品には老いを感じる。
監督の容姿や運動能力の話ではなく、シーンごとの情報量や濃度が。

老人メンターとの疑似父娘関係からの従順な貧者の悲劇もので、
だというのに老人の苦悩が主眼で、本当に苦手な要素ばかりなんですけど、
それでも素晴らしいと思うのだから相当な技術だ。











2020.08.10 サイトに掲載

2021.05.05 再掲載





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