「お米とおっぱい。」 上田慎一郎監督初期作品。 この世から、お米とおっぱいどちらかがなくなるとしたら、どちらか? というテーマでの議論、全員一致したら10万円の謝礼を支払いますという、 あやしい募集につられて集まった男性5人。 レンタル会議室のような場所で話し合いを始めるが、 簡単にまとまると思われた意見は次第に混乱していき…というあらすじ。 まず、あまりにも「十二人の優しい日本人」の影響が強すぎる。 そして比較すると、あまりにも議論の仕掛けが薄すぎる。 でも監督が二十代半ばだったことを考えると、 大学出るか出ないかの年齢で、ここまでちゃんと映画になってるのすごい!って思います。 年上の役者さんに指示をだして、みんなを牽引し、まとめあげた訳ですし。 ラストばれ 女性が一人もいない席で、おっぱいの重要性を論じる奇妙さ。 おっぱいは思春期男子の性の暴走を止めるとか、ブラの経済効果とか、 毎日おっぱいを揉むための、彼女にかけるランニングコストとか、 まあな、飲み屋で喋るにはいいかもだけどなー。 議論によって、参加者各人の抱えている問題が浮き彫りになっていくのですが、 妻に捨てられた高齢男性が最後に電話で 「お前の作る飯も、お前のおっぱいも愛してる」というようなことを妻に言って、 彼女が軟化する的な流れだったのですが、 令和の今となっては、このセリフが決定打となって関係が壊れる 冒頭のセリフだな、どちらかと言えば、と思いました。 男性に説明するのはとても難しいのですが、 性格の悪さで亭主に逃げられた高齢女性が、 「あんたの稼ぐ高給とあんたの上腕筋を愛してる」って言ったとしたら、 それははたしてジーンとするような良いセリフでしょうか…? 「だれでもいい」とニアリーイコールなのでは? あとあと、ブラジャーを身につけた男性を見て げろを吐くのも非常にまずい。 あれがもし悲劇的なシーンだとすると、 あの米嫌いの男性が対峙すべきは父親へのコンプレックスではなく 己の差別意識でなければならず、そういうエピソードが後半に入る筈ですが そうなってなかったのであれはたぶん喜劇の意図なんですよね? まあ10年近く前だからよかったようなものの。 2020.03.04 サイトに掲載 2021.05.05 再掲載 戻る |