「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」










フランス・ベルギー作品。
世界規模で大ヒットしたミステリー小説「デダリュス」、
待望の完結編の発売が発表された。

原語版と同時に9か国語の翻訳版も販売されることになり、
9人の翻訳家がフランスに集められた。
しかし彼らは、富豪の屋敷の核シェルターに監禁され、
翻訳が終わるまで外部との連絡一切を禁じられる…というあらすじ。

「ダ・ヴィンチ・コード」のラングドン教授シリーズ「インフェルノ」翻訳の際に、
実際に翻訳者が地下室に缶詰めにされた実話がベースになっているそうです。

出版社は原稿の流出を大変に恐れていますが、
確かにハリー・ポッター等人気作品の発売前の書籍が工場から盗まれたり、
出版社のパソコンをハッキングして
最終巻の原稿を盗んだと宣言する人物が現れたり、色々しましたからね。

この映画にも謎の脅迫者が現れるのですが、出版社が偏執的になってきて
翻訳者が虐待され始めるところは、監禁サイコホラー「es」みたいな、嫌な怖さがありました。
しかし出版社社長も翻訳者もみな「デダリュス」のファンで、
謎の作者を崇拝しているところは良かった。その気持ちわかるぞ!

販売部数の多い言語、
英語、ロシア語、イタリア語、スペイン語、デンマーク語、中国語、ドイツ語、ポルトガル語、ギリシャ語。
当然ながら日本語は入らず。コピー機として参加(笑)色々な言語が入り乱れて楽しかった。

犯人ばれ
キレた社長が、出版部数の少ない順に(翻訳者を)殺してやるというような事を言うのですが、
順番気になる!

あの自白を引き出すために極限状況を作り出す必要があったのは分かるんですが、
電車のくだりは必要ないというか、他の人を巻き込む必要がそもそもなかったのでは。

あの主婦の翻訳家さん、小説家になりたかったが
夫を喜ばすためだけに子供を産んでしまった。
愛情が全くもてず、かえって自分の夢を犠牲にした蟠りが家族に向いた、
しかも自分には才能がなかった、っていう救いもなにもない死、あれは描く必要があっただろうか。
あの件がなかったら少なくとも死ななくて済んだかもしれないのに。
あの自殺でラストの爽快感が何割か削がれてしまった。

復讐ものは好きで、冒頭の映像と、ここで繋がるのか!
という真実は、かなりカタルシスあったんですけどね。

オリエント急行の件、意見が割れているようですが、
私は参加が無理で代打が出たあの人がいるので、厳密には不正解ってことかなと思ってた。
(もちろん少年の才能を感じて側に置きたかったおじいちゃんの機転で)

最終的にはおじいちゃんと彼とサイコパス社長の三角関係の話だな…と思った。












2020.02.03 サイトに掲載

2021.05.05 再掲載





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