「パラサイト 半地下の家族」 ポン・ジュノ監督。 父親が失業中の一家は、長男が大学浪人、長女が大学浪人。 家賃の安い半地下の狭い家で、家族4人身を寄せ合って 内職をしながら生活していた。 ある日長男の友達が尋ねてきて、自分が留学する間、 家庭教師のバイトの代役を勤めてほしいと依頼される。 家庭教師先の豪邸、美しく優雅な家族に魅了された長男は、 その家が子供の美術教師を探しているのを知り、一計を案じる…というあらすじ。 分類が難しいですが貧困ブラックコメディサイコサスペンスです。 流血はがっつりありますので注意。 私は監督の作品で、グエムル、スノーピアサーは好きで、 殺人の追憶、母なる証明とかは合わない。 現実っぽくない方の作品が好きなんですが、 この作品は好きなほうに入りました。 ファンタジー要素は一切ないので不思議です。 以前ケン・ローチ監督「わたしは、ダニエル・ブレイク」を見た時、 衝撃的で容赦のない作品ではあるんだけど、 疲れている状態の社会人が、 金を払って貧困を見るというのはどうだろう…? 果たしてそれはエンタテインメントか?という疑問を持ったのですが、 「パラサイト」はその答えになりました。 貧困はバリバリのエンタテインメントになり得る。 オチばれ 不穏なインターフォンの音が、劇伴の一部になる演出のところ、 ビビっときました。 お母さんが、鬼のような形相で牛肉入りチャパグリを作る傍ら、 妹ちゃんとお兄ちゃんが獣のようなスピードで部屋を片付けている、 地獄の家事シーンが良かった。 富豪夫妻がソファで性行為をおっぱじめて (挿入なしというのがまた上品で知的、かつ妙にディティールが細かくエロい) それを家族で川の字になって聞かなければならない無情とか。 一番笑ったのは親北ギャグですけど(あれOKなんだ!?)。 ああいうのをキレキレのギャグと言うんでしょうね。 最初は「魔少年BT そばかすの不気味少年事件」か 映画「クリーピー 偽りの隣人」のように、 完全に貧困家族に乗っ取られる展開だと思っていたので、 前のお手伝いさんが壁と棚の間の突っ張り棒になっているのを見て 「???なんだ???これ???」ってなりました。あそこ超展開だった。 下と上という観念が物理的にすごく分かり易かった。 あの豪邸はセットなんだそうですね。 「昨日の雨のお陰でPM2.5がゼロ」 っていうのは、いくらなんでもニュースを見てたら 出ないセリフのような気もしますけど、 うーんでもバタバタした一日で、見てなかったというのもあり得るかも。 韓国映画をそんなに沢山は見てないので一部分かってない部分もあるかもしれませんが、 チャミスルを飲んでいるのと、貧困家族がめちゃ口悪いのは分かりました。 (シーバル言いまくり付けまくり) 警備員募集に大卒500人の応募があるって言ってたから、 少々誇張にしても韓国も景気が良くないんかしら…。 でも貧困家庭の子供は親を敬っていて、きょうだい仲もよく、夫婦仲もすごくいいのが シーンとセリフでちゃんと表現されていて、 それがあの絶望的ラストにもかかわらず 鑑賞後にそんなに嫌な気持ちにならないのに繋がっているのだと思います。 2020.01.13 サイトに掲載 2021.05.05 再掲載 戻る |