「コーヒーが冷めないうちに」










川口俊和さんの戯曲を元にした映画。
舞台劇だけあって場所が限定的です。
監督の塚原あゆ子さんは
ドラマ「アンナチュラル」のメインの演出のかたですね

泣けるのを前面に押し出した予告でnot for me…?
と思ってたんですが、過去帰りのルールが割と厳しく、
岸部露伴ものみたいで面白かったです。

ある老舗喫茶店には噂があって、
それは決まった席に座って特別なコーヒーを淹れてもらうと、
願った時間に飛べるというものだった。
ただしコーヒーが冷めないうちに飲みほしてしまわないと
元の時間に戻れない、
その店の外には出られない、
過去は変えられない、
その席にはずっと、恒久的に座っている女性がいて
彼女がトイレに立たないとその席には座れない、
等々細かいルールがあった。
違う時間の幼馴染や、きょうだいや、配偶者に会いたいという人々が
日替わりでその席に座る。
特別なコーヒーを淹れられるのは、店のオーナーの血族である
時田家の女たちだけだった…というあらすじ。

コーヒーが冷めてしまった場合のペナルティがでかくて、
その空間に焼きついた幽霊のような存在になってしまいます。

過去が変えられないので上書き形式ではないんですが、
でも分岐する訳ではなく、強めの恒常性が働いて修正されてしまう感じ。

ラストばれ
最後の頓智はちょっとしたギャンブルでしたね。
(最初の子が男の子で、そのあと破局して縁が切れたらどうしようもない)
未来ちゃん、愛されて育ったお顔で可愛かったなあ。
しかしあの年月日が分かったというのは、
結局数さんが自分で思い出したんだろうか。

物を持ち帰れるというのがかなり大きいと思う。
数年分の各地の競馬の結果を手紙に書きとめたあとで店内に隠そうと決意し、
その時点で未来に飛んで手紙をゲットすれば一攫千金なのでは…。
(過去を改変している訳ではない)
大散財をすると分かってる自分から、お金を奪ったらどうだろう。
手紙を受け取れてお札は駄目ということはなかろう。

このお話、場所の転換も多数の役者さんも必要なくて、
非常にうまくできているなと思いました。










2019.08.25 サイトに掲載

2020.01.01 再掲載





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