「アド・アストラ」










軍所属の技術者ブラッド・ピットは、
由来が不明のサージ(大波電流)が
成層圏外建造物に被害を及ぼすのを目の当たりにする。
そして軍上層部の呼び出しを受け、
20年前の地球外生命体探査で行方不明になった彼の父が
海王星付近で今も生きており、このサージを引き起こしているのではないか、
という仮説を聞かされるというあらすじ。
近未来SFです。

コンラッドの「闇の奥」に「シャイニング」を足したような…
と思いましたが、「2001年宇宙の旅」オマージュが多く含まれるそうです。
脚本を書いた人と私の倫理観が合わなくて、残念ながらいまひとつ。
冒頭が一番良くて、そのあと緩やかに下降。
科学考証的にどうなのか分かりませんが、月面カーチェイスとかは面白かったです。
ブラッド・ピットを見たい人にもよいと思う。

ラストばれ

宇宙船の中で死体がぷかぷか浮いてるのとかも私は好きですけどね。
しかし3人殺したけどパパとお喋りして人の心を取り戻したぞ!
そうしたらほぼセリフと自我のない概念嫁が帰ってきてハッピーハッピーエンド!
っていうのは何だそりゃ…と思います。
この脚本を書いた人こそ何らかの心理テストを受けるべきでは。

しかもこの殺し、一見正当防衛だけど、自分の目的を果たすための凶行だからね。
ヴィランと同じ行動原理ですよ。
サージは止まったけど、元々3人も同じ目的で出発してましたからね。

あと命令を守った3人の軍人を殺した、
命令違反不法侵入器物損壊男をぷらぷらさせておく軍の考えもよく分からない。
しかも重大な機密を知っている。こんなの事情聴取したあとで
容体急変により死亡しかないでしょう…。分からない。
2001年のオマージュで、
3人という数字もディスカバリー号の乗組員とかなのか。
あるいはもっとメタファー映画で、父が神でブラピが神の子とかなのか。
妙に宗教的公平を欠く軍隊だなとは思っていたけども。

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」で
ブラッド・ピットの演じた役クリフ・ブースと
この映画のロイ・マクブライドは対称で
にこやかだが何かが絶対的に欠けているブースと、
抑制された態度だが奥底には人間的な心のあるマクブライド…
になる筈だったが、3人殺して後悔も罪悪感もなく
まったく問題ないって言いきってるマクブライドは、
結局ブースにも父親にも似ているという形になっていて面白い。

この話、偉大な父と、彼に執着する有能な息子という父子ドリで、
これ年配の方は父親に、中年より下の方は息子に自己投影できる
おいしい形式だったんですけど
最近はたぶん父親にコンプレックスを持つ男性も減ってきて
何より女性客へのサービスが手薄になりがちのため、
流行らなくなりつつあるように思う。

海王星からの脱出の大胆すぎる描写を見ていて、
「ゼロ・グラビティ」を見返したくなりました。











2019.09.22 サイトに掲載

2020.01.01 再掲載





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