「シークレット・スーパースター」 インド西部のグジャラート州で暮らす15歳の主人公は 歌が好きで、周囲も彼女の才能を認めていた。 彼女は音楽コンクールに出場したいと願っていたが、 ムスリムの家長である父はヒステリックで暴力的な男で 彼女の希望は許されそうもなかった。 優しい母は娘を想ってお金を工面し、 コンクールの景品だったパソコンを買い与える。 インターネットは彼女たちの暮らしに新しい世界をもたらし、 やがて彼女は動画サイトに自分の歌をアップする事を思いつく。 母親は、父親に気付かれぬよう、 ブルカで顔を隠すアイディアを思いつき、少女は正体不明の歌手 「シークレット・スーパースター」としてデビューするというあらすじ。 主人公の少女がかわいい。歌声もかわいい。 お母さんもとてもかわいい。姉妹にしか見えない。 (中の人は14歳差) 主人公の才能を見出すチョイ悪いプロデューサー役で アーミル・カーンが出てきます。 山師っぽい落ち目の音楽家ですが、根は悪い人ではないので どんどん少女に入れ込んでいくパートはほろりとさせられた。 家庭パートはDV・モラルハランスメント描写満載なので、 そういうの苦手なひとは避けた方がいいです。 あとメインは母娘の物語なので、それが苦手なひとも。 予告 https://www.youtube.com/watch?v=Y_ZU09_dD7M ラストばれ 最初に父が帰宅したシーンですでに面倒くさくなって 「寝てるうちにアイロンでぶん殴って黙らせよう!そして燃やそう!」 って思いました。 お母さんは優しいけど でもそれは結婚前まではせめて自由にさせてやろうという親心で、 女が男に殴られる世界は絶対に変らないもので 夫に反抗しようとは夢にも思ってないし、 変えようと言い出した娘に恐怖し反発するというのは 見ている私まで悲しくなったけどリアルだった。 なのでラストの空港のシーンは、もう、本当、スッキリしました! お母さんの決断の理由は、最後のあのひと押しもあるけど、 その前のカウンターで娘がしっかりチェックインを済ませたところや、 物怖じせずに座席について男性に意見したりしたのを見たせいもあると思う。 (インドの国内便、フリーダムだ。墜落のことを考えないのか) インドの(ムスリムの)暮らしについて思ったのは、 家の出入口がリビングにあって、 そこで娘が寝起きしている(部屋がない?)のが面白かった。 キュートとかクールとかベイビーとかいう英語は、 ヒンドゥー語でもそのまま使っているのだなとか。 あと先方の家が先進的な家だから、ブルカはいらないと夫が言ったら 結婚式の参列でも妻はブルカを付けなくていいとか、へえーだった。 あとカレーと一緒に食べるマサラドーサ、 ガスレンジに薄い円形の鉄を乗せてその上で焼くんだな。 イスラムでは女性は学問をしてはならないって以前聞いたことがあるんだけど、 今回の映画では、DV父が「学のない女は嫁の貰い手がない」 って言って娘がテストで悪い点を取ったら仕置きしてたし 地方で変わるのかな? たぶんインドではインシアみたいな女の子がたくさんいて、 彼女たち全員が何かの天才の訳はないし、 それを思うとこの映画は「シンデレラ」のようなおとぎ話だなと思います。 (アーミル・カーンがフェアリー・ゴッドマザー) 男女平等は西洋文化の押しつけだという意見も時々見掛けますが、 優しい主人と従順な奴隷ごっこ、 参加者全員の合意があってうまく運営されているのなら問題ないですが、 優しい主人役に失敗する人が意外に多いので、 システムとしては劣っているのだと私は思います。 主人公の少女を演じたザイラー・ワシームさんは 信仰の妨げになるとして残念ながら今年に引退を表明。 髪を切った写真が原因となってイスラム社会からのバッシングが始まり 殺害予告などもあったそうです。18歳! 2019.09.01 サイトに掲載 2020.01.01 再掲載 戻る |