「ゴールデン・リバー」









殺しを稼業とするシスターズ兄弟は街を仕切る提督に、
「新技術を独占して逃げた研究者を追って
その全容を聞きだし殺せ」という指示を受ける。
同じく提督に雇われた連絡係の男と連携して
研究者を追う兄弟だが、
妙ななりゆきにより彼等の予想していなかった展開が待っていた。
というあらすじ。

19世紀半ばのゴールドラッシュを題材にした
非常に渋い西部劇です。
糖度低い兄弟萌え、ブロマンスの好きな方におすすめ。
甘さで言えば「3時10分、決断のとき」くらい。
(糖度の話であって、あらすじが似ている訳ではない)

父の暴力によって安定した情緒の壊れてしまった弟ホアキン・フェニックス、
その弟に疲弊しながら守ろうとする兄ジョン・C・ライリー、
支配から逃げて無感動に生きる男ジェイク・ジレンホールと、
理想と夢の実現を目指す研究者リズ・アーメッド。
この4人の人生が重なって起こるドラマが話の中心です。

デスプラの音楽がよかった。
出だし数秒は「レトロ気味のピアノ曲…?」
って思うんですが、レトロでも何でもない攻めてる旋律。

リアル寄り西部劇なので、馬が酷い目に遭います。
あと虫、人体の痛いシーン、嘔吐注意。

ラストまでばれ(BL寄りの意見)

ジェイク・ジレンホールとリズ・アーメッドが運命の出会いをして、
観客は人が恋に落ちる瞬間を見る強制プレイをさせられます。
共産主義と宗教の混ざったようなキラキラした夢を語る
リズ・アーメッドに、実現不可能と思いながらも
ジェイク・ジレンホールがどんどん惹かれる気持ちが何となく分かった。
リズ・アーメッドの理想も、黄金も、美しかった。
途中リズ・アーメッドがセリフを言い終えた後、
カットのかけ忘れかと思うくらい長々と彼の顔が映っている瞬間があったけど
あれはジェイク視点に違いないってピーンと来ましたね!
幸せになってほしかった!

…だというのに…ホアキン・フェニックス…お前…。
突然ホラー映画の状況悪化男ムーブを…この野郎…。
リズ・アーメッドの最後の告白は永久に届かないし、
ジェイクに至っては…。
だというのに、最後ママかよ、この野郎…。
あれは代償ってことなんでしょうけど、
足りないので、あと2、3本とれてもいいと思う。

ポスターを見て4人の男の物語と思っちゃってたけど
原題は「The Sisters Brothers」で
兄弟の話なんですよね…いや、そのまま使うと
今度は姉妹兄弟のナルニア西部劇みたいなの
思い浮かべてしまう人が大勢でるでしょうけど。

ジョン・C・ライリーは仏のようなお兄ちゃんでした。
歯ブラシ(でかい!)を使って自分の息を確認してエヘ!って笑ったり
女性が自分にスカーフを贈る小芝居を、
娼婦のひとにお願いして演じてもらうのとか、
あと水洗トイレを初めて見て弟に見せずにいられない所とか
「シスターズ兄弟のかわいいほう」って名乗っていいと思う。

飲み過ぎげろ、毒物げろ、ショック性のげろ(中身なし)、
げろの豊富な映画だった…放尿もあった…。








2019.07.08 サイトに掲載

2020.01.01 再掲載





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