「アナイアレイション-全滅領域-」 7年間の軍属のあとで、生物学教授となったヒロインには軍人の夫がいたが、 軍の極秘任務で出立してから1年が経ち おそらく死亡したと周囲も彼女も考えていた。 しかし突然彼は自宅に戻ってくる。 彼の記憶は曖昧で、原因不明の体調不良に陥るが 直後2人は軍に拘束され、 ヒロインは夫が国立公園に突如出現した 「エリアX」と呼ばれる空間の調査に派遣されていたことを知る、 というあらすじ。 アレックス・ガーランド 監督作品。 原作はジェフ・ヴァンダミアの小説。 ホラーです。ぞわぞわします。なかなか好きです。 テスト上映会の評価がいまいちだったので、 内容をもっと一般受けするようなものに直せと配給会社が指示したのですが、 監督が拒否したので、会社はアメリカ国内と中国以外の配給権を Netflixに売却しました。 よって残念ながら日本では映画館で上映されず、配信となりました。 しかしDVDは出たので、レンタルで見られた! 一面に繁殖した色とりどりの黴や、錆や、珊瑚を思い出しました。 死体がとっても良かった。ドラマハンニバル以来の力作死体です。 エリアXに入ると生物は変容し、混ざり合ってしまうのですが 第2次調査隊の女性たちが目撃する様々なものが禍々しく美しかった。 風変わりなテイストのホラーが好きな方におすすめ。 ラストばれ 前の調査隊が次の調査隊に残した記録映像に、 隊員が仲間の腹を切り裂くところが映っていたり 夫を亡くした女と、娘を亡くした女と、自傷癖の女と、不治の病の女が 黙々と進んでいく奇妙な森、 人間の形をした植物、人間の断末魔の叫びを声真似する熊、 そして夫を死に追いやったのは妻であるヒロインだったという真実、 なにもかもがウワー…っという絶望です。 でもエリアXは奇妙で魅力的なんですよね。 監督のツボはたぶん、人間ではないものが人間の模倣をすること。 そのグロテスクさと、逆に人間の事が見えてくる感じだと思う。 これ原作は3部作なのだそうですが、 映画のように消失はしなかったろうし、 あの植物や動物の奇妙な感じを文章でどうやって表現したんだろう。 エリアXに、特に目的がないっていうのが怖かったです。 侵略や資源の強奪だったら戦うなり話し合うなり対処法があるし 相手の行動の予測も付けやすいけど、 目的がない場合、相手が何をするか分からないし、 いつ終わるかも分からない。 オスカー・アイザックにそっくりな人がチョイ役で出てて 君はオスカー・アイザックに似てるから出世するよ〜って思ったけど オスカー・アイザック本人だった…。 2019.05.17 サイトに掲載 2020.01.01 再掲載 戻る |