「ゴッズ・オウン・カントリー」










ヨークシャーの片田舎で祖母と、厳格で体の不自由な父と暮らすジョニーは、
牧場の仕事を1人でこなし、羊と牛の世話に明け暮れる毎日。
若者らしい楽しみとは縁遠く、
酒と、行きずりの男性との性行為が唯一の鬱憤晴らしだった。
羊の出産シーズンに雇われたルーマニア移民ゲオルゲがやってくるが、
ジョニーはそんな彼に差別的に接する。
しかし牛や羊へのケアが的確で、優しい気性ながらも誇り高いゲオルゲに、
かつてなかった感情がジョニーに芽生えて…というあらすじ。恋愛映画です。

日本で5回上映をやった際は、東京4回で大阪1回だった。
その大阪上映を取るために、予約開始の24時にスタンバイして、
座席指定までいったけど、途中でエラーが出て、そのあとは何度やっても駄目。
15分で完売でした。
DVDにもならないと言われたので、もう諦めてたのですけど
このたび拡大上映になって各都市劇場で上映中です。
(今のところ山陰山陽四国はないけど…)配給会社さんありがとう!

「リバです!」って聞いて見に行ったんですが(笑)、
リバでした!羊飼いBLです。
子羊の解体と生皮を剥ぐ描写、幾度かの性行為描写があるので
そこのところ平気な人むけ!

全部ばれ

ジョニーは人間1周目で、人間になりたてなので
性行為の経験はあってもほぼ排泄とニアリーイコールで
恋愛経験がなく、人を好きなった時どうすればいいのか、
何をすると恋愛関係が破綻するのかをよく分かってない。
もちろん修復の方法も知らない。はらはらしました。

恋人とゆっくり食事する楽しさとか、
ふざけ合いっこする楽しさとか、
いちゃいちゃしながら互いに興味を持ってお話しする楽しさとか、
以前した会話を自分も相手も覚えていてもう一回繰り返す楽しさとか、
ジョニーは何も知らないので、
戸惑いがちの笑顔には胸が痛くなる感じでした。
そしてゲオルゲの、傷付いた人独特の優しい感じ。
食を楽しんでいる様子、
雇い主(ジョニー父)の家の中ではその息子と
性行為に及ばないきちんとしたところ、
誇りを傷つけられると怒り、潔く去る毅然としたところ、
好〜き〜!と思いました。
ジョニーは早く人間になって、
ゲオルゲを幸せにしてあげてほしい。

ゲオルゲがジョニーに「パキか?」と聞かれて即座に否定するシーン、
(字幕の記憶がないのですが、たぶん「パキ」って言ったと思う)
ボヘミアン・ラプソディを見ているので、パキスタン人に対する
尊敬を伴わない呼びかただというという事は分かったけど、
ルーマニア人とパキスタン人って似てるかな…?
(ゲオルゲを演じるアレック・セカレアヌはルーマニア出身)
何でもいいから言いがかりをつけたいだけだったかもですが。

ジョニーは、ゲオルゲにガツンとやられたときに
本格的に好きになったと解釈しましたが、
やっぱり父性的なものに憧れている設定なのかな?
ハウス食品アニメの頼れるお父さんって感じだからなーゲオルゲ。

遠くからやってきたひとが、
自分の生活を、身の回りの人との関係を
風景の美しさを見直すきっかけをくれるって、
パディントンだな…ふふ、と思いました。
そういえば怒った時のゲオルゲとパディントン、似てますね。
あと当然ブロークバック・マウンテンを思い出しました。
が、なんかあのラスト許さんという意思も
気のせいか感じ取りました。
同性愛者の映画だからって、
悲劇エンドにならなくていい流れはここ数年のことのように思いますが、
私は光属性なもので、大変喜ばしいです。

嘔吐シーンが2回と、放尿シーンが3回あります。
嘔吐は非アジア映画では珍しい(彼等はアルコールに強いから)泥酔嘔吐です。
断っておきますが、私は嘔吐マニアでも排泄マニアでもありません。
100%親切心です。

エンドロールで、収穫物の上にちょーんと乗ってる犬がかわいい。
ネズミよけかな?









2019.02.05 サイトに掲載

2020.01.01 再掲載





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