「サスペリア」










ルカ・グァダニーノ監督。R15+
40年前の伝説的ホラーを「君の名前で僕を呼んで」のグァダニーノ監督がリメイク。
旧作はともかく赤の美しい映画で、ダリオ・アルジェント監督はこの作品で
美少女ホラーの第一人者となられた感じ。
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私は旧作のファンで、もちろん魔女三部作を見守って、最後の魔女で「へへへ…」ってなった。
旧作の赤

ドイツのダンスパフォーマンス集団の公演を見て感銘を受けたスージー・バニヨンは
マルコス・ダンス・カンパニーの入団テスを受けにやってくる。
彼女の踊りは振付師のマダム・ブランの目に留まり、入団を許される。
しかし団員の少女パトリシアはダンス集団の秘密について勘づき、
カウンセラーに相談していた…というあらすじ。

雨の日に初めて訪れるダンススクール、廊下の赤っぽい光、
章のタイトルに含まれる三母神等々、旧作へのリスペクトも含みつつ
これはまったく別の映画です。
むしろ旧作より、映画的にちゃんとしている。
サスペリアを冠しない方が、評価された気さえします。
旧作は純粋な美少女である主人公が恐ろしい魔女に抵抗する童話のような話でしたが、
今作は魔女側に多くの時間が割かれ、そして魔女の解釈が最新のものだった。
あと分断されていた時代の20世紀のドイツの空気。当時の建物や内装が好きな人は必見です。

人間の体が折れて中の汁をまき散らしたり、
尖ったものが何度も人体に刺さったり、腹を割って中身を出したりするので
私と9割趣味がかぶっている人以外にはおすすめしませんが、
私はわりと好きです。
あ、あと死亡演出で初めて見るタイプの技術があったので、そこも推す。
見るつもりのかたは、やたら検索しない方がいいと思います。

余談ですが監督の前作「君の名前で僕を呼んで」では
BLの趣味が合わね〜〜〜〜!って思ったんですが、百合の趣味が合ってしまった!
スージー・バニヨンはダコタ・ジョンソン、その親友になる少女サラがミア・ゴス、
舞踏団から逃げる少女がクロエ・グレース・モレッツ、
舞踏団の中心人物マダム・ブランをティルダ・スウィントンが演じます。


オチばれ注意!!!

魔女の解釈が!
権力者にも従わぬ女性集団で(政府が国家のために子宮を開けと要求しても受け入れなかった的なセリフ)
老いも若きも思い思いのファッションを楽しみ、酒を飲み、肉を食らう。とっても楽しそうでした。
あと色々な年齢、体型の女性がこんなにたくさん出演している映画はけっこう珍しいと思う。
魔女の飛翔にも触れつつ、旧作三母神ファンにも目配せしつつ、
東西ドイツの空気も描写して、なおかつただのホラー映画、フェミ映画ではないですよ、
思想集団の隆盛と粛清などのメタファですよという高尚の香りも匂わせて、
そして最後は後味悪くなり過ぎないよう砂糖も投入して、しかも甘くなり過ぎないよう
人ならざる神の残酷さも示すという気の配りよう。

しかしながら国家権力と男性を愚弄する表現があるので、男性受けはあまりよくないと思います。
というか純粋無垢な美少女がキャーって言うホラーを求めてきたひとはおそらく憤死する。
旧作も好きだから気持ちは分かるけども…。
私はあの、魔女がゲラゲラ笑ったり怒鳴りながら走ってきたりして
まず相手の感情を乱してから意思を操作するやりかたがけっこう面白かった。
洗脳と暗示と魔法の中間くらい。あとまあダンシング呪殺。

前作「君の名前で僕を呼んで」となにひとつ共通点が見いだせないので、
この人は何のジャンルでもある程度理詰めで作ってしまえる技術寄りの人なのかな?と思いました。
とりあえずホラー映画の鉄板メソッドはほとんど使われていないので
ホラーにはあまり興味がないのだなという事は分かる。

マダム・ブランだけではなく、精神科医もティルダさんが演じていらっしゃるそう。
全然気付かなかった!(1人3役らしい)男性の少ない映画だと思う。
(あ、あとオリジナル版のヒロインは、精神科医の妻アンケでこれも気付かなかった)
マダム・ブランはロングドレス姿が美しかったけど、
シルエット重視だろうにポケットがついてるのがなんともいえずいいんだよねあのドレス。
最後生きておられたので、今後はサスペリアのかわいい子猫ちゃんとして生きるといいなと思います。
まさかのサスペリア総攻め。
サスペリアは、全かわいこちゃんと、女性を思う男性の守護者だけども、
対抗派閥というか、自分のお気に入りをいじめた奴は全員殺すという悪のダンブルドア。
グリフィンドール以外全員死刑。ふいた。

総攻めのサスペリアと他の女神との仁義なき抗争を見たいけど、たぶん無理だろうなこれ…。

あ、美少女の排尿シーンがありますので、その筋の方はどうぞ。









2019.02.04 サイトに掲載

2020.01.01 再掲載





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