「ヴィクトリア女王 最期の秘密」 原題:Victoria and Abdul 1887年から没するまでの晩年のヴィクトリア女王が、 インド人使者の青年に傾倒し、 彼を重用していたという実話をベースに 2人の友情を描いた物語。 当時の衣裳や、宮殿での風習、 使用人の労働に興味のあるかたには必見です。 主演はジュディ・デンチとアリ・ファザル。 コメディタッチで描かれているのですが、 当時の英国の驕りと差別が冒頭から表現されており (映画開始すぐに、アブドゥルにぶつかった英国人の態度) 笑っていいやら判断に困りました。 コ・イ・ヌールのエピソードとか、めちゃブラック! (現在でも返還要請が出てるけど拒否しているらしい。返しなさいよ…) 2人の純粋な友情を、周囲の汚い大人たちが引き裂こうとする! というような路線で宣伝しているようですが、 私は高齢者のせいか、彼等の友情は100%純粋とは思えないし、 周囲の気持ちもちょっと分かる。 内容ばれ イングランド国教会の首長である女王が イスラム教徒の青年を師と仰いで言葉や思想を集中的に学ぶというのは 周囲から見て激ヤバ案件だと思うし、 アブドゥルが妻子を放置していたのが謎だし、 妻帯者だと分かって女王が激怒したのも謎だし、 セポイの反乱(インド大反乱)の件は故意の嘘か アブドルの認知が歪んでたのか、どっちにしても怖いし、 あとモハメド(いいやつ)をどうして帰してやらなかったんだよ…。 暖かい国の人があんな寒い国で弱って死ぬのを見るのはつらい。 (そしてイスラム教徒のアブドゥルが、序盤と別れのシーンと彫像、複数回、 支配者で異教徒で女性のヴィクトリア女王の足に接吻する、というのは たぶん渾然とした拒否感の出る表現だろう) 女王にお小言言ってた首相(ソールズベリー卿/ロバート・ガスコイン=セシル) これ、めっちゃ良く知ってる人だけど誰だっけ…って考えてたんですが、 2代目ダンブルドア校長だった…。 ソールズベリー卿、あとで調べたら女王が誰かにお熱になると 水を差す役なんだな。 そしてヴィクトリア女王は割と人間にドはまりしやすい性格なのか。 支配国の男性が、被支配国の若い女性と出会い、 その美しさや純粋な魂に惹かれて云々って話は定番で、 ポカホンタスを始めとして世界中に無限にあるけど 逆パターンって珍しいです。 アブドゥル・カリム https://en.wikipedia.org/wiki/Abdul_Karim_(the_Munshi) その後40代で亡くなっている。 この映画の少し後になって英国にやってくるインド人数学者ラマヌジャンも そういえば病を得て帰国し、若くして亡くなりますが(映画「奇蹟がくれた数式」)、 (菜食主義者だったが食料が入手しにくかった、あるいは結核だったとも) 気候が違いすぎる国での生活って、やっぱり体に良くないんですかね。 (アブドゥルの場合は口封じに暗殺された可能性も微レ存だけども) この映画の冒頭と同じ年に「緋色の研究」が発表されます。 なるほどなー。もうちょっと後だと思ってた。 2019.01.30 サイトに掲載 2020.01.01 再掲載 戻る |