「来る」










ホラー小説「ぼぎわんが、来る」映画化。
娘の生まれたばかりの幸福な家庭におかしな現象が起こり始め、
やがて円満であるかに見えた夫婦の関係に影が差す…というあらすじ。
人間の嫌な面、人間関係の嫌な面が細やかに描写されますが、
松たか子さん演じるハイパー霊能者が漫画的で、不快感が相殺されます。
原作のほうが構成が端正ですが、映画のほうがエンタメ的。
特に終盤が文章では難しいド派手な展開で、
ジャンルを越えたあの宗教的スマブラのシーンはワクワクした。
そんなに怖くないと思います。

監督4年ぶりの新作という事で、「渇き。」は2014年なんですね。
時間が経つのは早い。
スローモーションと幻覚のような色彩設計は今回薄くて、
うーんとでも大衆居酒屋のシーンと、中華定食屋さんの色は良かった。
(オムライスの国は、うん、ちょっとよく分からないですね…)

内容ばれ
あの総力戦のシーンは、京極堂に解説してほしかった。
一番高いところで踊り狂ってた人達は、
沖縄の宗教なのかな?と思ったけど
検索してみた限りでは違うっぽいので、衣裳からすると韓国の呪術?
コクソンに出てきた祈祷師が、あんな格好をしていた気がする。
(巫俗(ムーソク)という朝鮮半島古来の信仰らしい)

原作との比較(原作ねたばれ)
原作は家長による妻子へのモラハラDVが
世代を越えて、ぼぎわんを存在させ続けるという主旨だったと思いますが、
映画版では男女両成敗というか、酷い親が子供を不幸にし、
子供がぼぎわんを呼ぶというように、さり気なく変えてありました。
男女どちらも楽しめるようにという配慮でしょう。

でもその流れで、原作中いちばん怖いシーンの
おじいちゃんを迎えにくる場面がかなりふんわりしてしまい、
そこは残念です。あれをオープニングにしてほしいくらいなのに。
姉妹萌えがちゃんと拾われているのは、さすが分かってらっしゃる!と思いました。
ところで、幽白が表紙のジャンプを見て「夢か…」って描写に納得するのは
非おたくの人では少数派だと思いますよ監督(笑)。

くず夫と、その友達の民俗学者が少し掘り下げられ、
会社の人間関係が更に嫌な感じになり、
飲食店で会った霊媒師の女性がちょっとグレードアップしてた。











2018.12.10 サイトに掲載

2019.01.01 再掲載





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