「クワイエット・プレイス」









近未来、隕石と共に地球にやってきた凶暴な生命体が
人類を捕食し始めて数年、主人公一家は助け合って生きていた。
宇宙生物は視覚を有していない代わりに鋭敏な聴覚を持ち、
音で生物を察知して狩りを行っていた…というあらすじ。

頭のおかしなキリングマシーンおじいちゃんの家から
音をたてないように逃げる脱出ゲームムービー、
「ドント・ブリーズ」のSF版です。
この映画では1軒の家の中だけではなく
世界全体で音を立ててはいけないルールのため、
道に砂をまく、裸足で歩く、音の鳴らない床に印をつける、
音のしそうなアイテムは布製に替える等々、
無音のためのノウハウが確立した生活がSFぽかった。
ともかく音が恐ろしいという条件付けと演出、
人間の知恵と根性、親子愛など、短編ホラーとしてよくまとまってました。
(しかしながら痛いのがダメな人はたぶん無理です)
お父さん役のひとが監督脚本も兼任してて
エミリー・ブラントのリアル夫さんだったのか。

内容ばれ

配偶者を亡くした老人が絶望して叫んで自殺するのとか、
ああいう短いシーンが良かったです。
あの世界、注意力と忍耐力も重要だけど
メンタルが強くないと生き残れなさそう。
お父さんはよくやった、というか超人的だと思います。

しかし最近のホラーでは絶滅寸前だった
「人の言う事を無視して無茶をした挙句、周囲を危険にさらす人」
が出てきて、久しぶりにウワー!ってなりました。
いや、最弱の者こそが最強であるという
指輪などでも使われた古典的形式なのは分かってたんですけど、
親がダメって言ったおもちゃを弟に与えたせいで弟死ぬ、
入るなって言われている地下に入ろうとする、
一緒に来てはダメって言われた遠征に来ようとする、
臨月の母に付いててくれって言われて無視して母ピンチ、
父親を待とうと言った弟を無視して移動しようとし弟サイロに落ちて死にかける。
計画的に家族を殺そうとしているのかと思いましたよ…。
(でもまあ適切なケアをされているとは言い難いし、
かといってあの状況で子供3人の面倒を親2人で完璧に見るのは無理…)

ハンデを持つ人間は同じハンデをもつ者が演じるべきという
監督さんの方針で今回キャスティングされたそうです。

そういえば釘のシーン、「出産とかちょっとお腹壊したくらいの痛みでしょう」
という層にも絶望的危機的状況がよく分かる駄目押しでした。
あれ痛いのが苦手なひとが見たら気絶するんじゃないかと心配になりました。
ちょっと曲がってるのがまた絶妙なんですよね。

日本だと、国土が狭く人口が密集しているため
無音の設備はもう少し多いので
(カラオケボックスや個人のオーディオルーム等)
アメリカよりは、やや難易度が低いのではないかと思った。

続編も企画されているようです。
予算が増えたら音響兵器で戦おうぜ。









2018.10.02 サイトに掲載

2019.01.01 再掲載





戻る