「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」










not英語話者にとっては、お色気対決!みたいな謎のタイトルですが、
当時29歳の女子テニスプレイヤー、ビリー・ジーン・キングと
55歳の往年の勝者ボビー・リッグスとの男女対抗興行試合のお話です。
それと同時に、女性選手に比べて男性の賞金額が8倍であるという
非対称に反発したビリー・ジーン・キングが
現在の女子テニス協会の原型となる組織を
新しく立ち上げるというウーマンリブ運動、
既婚者の彼女が、出会った女性と恋に落ち
自己のセクシャリティに悩む様子も描かれます。
ジョナサン・デイトン&ヴァレリー・ファリス夫妻監督。

登場する男性はほぼ全員男性至上主義者の年寄りのブタで
(自分でそう名乗るんですよ。私が言ったんじゃないですよ)
良い男性は影ながら女性を支えるイケメン、またはゲイなので、
相当高レベルの(感情移入を一切しない)鑑賞者か、
またはまぞのひと以外の男性はご覧にならぬほうがよいかもしれません。

私は異性でも同性でも不倫アカンのひとなので、
あー、不倫じゃなかったらなー、めっちゃかわいい百合なのになー
って思って見てたのですが、ジーンの夫と恋人の彼女の間に
奇妙な友情が生まれて、これは例の「お前たちは俺の翼だ!」って
やつかな…ってなりました。(のちに離婚されたそうですけど)

ラストまでばれ

男性至上主義者のブタたちは、
典型的すぎて脂が搾れそうなほどの女性差別主義者で
寝室と台所にいる女性は好きだし紳士的に接するが、
ほんの少しでも権利を主張されると全力で叩き潰す、
あー、ハイハイという例のアレ。
おじいちゃんたちは事あるごとにその手の台詞を吐くので、
ラストでひねり潰されるシーンでは、
日ごろその手の案件で鬱憤の溜まった女性は
かなりスカっとするのではないかと思います。
でもボビー・リッグスにはちょっと救済がある。
(ギャンブルはやめなよ…)
あと彼の敗北については様々な説があるようですが
この映画では自己管理不足という表現になってる。
リッグス選手にしても、キング夫人にしても
トップアスリートにとって、メンタルってものすごく大きいんだなあ。

キング夫人の夫くん、めちゃいいひとなので見ていてつらかった。
「彼女の本命はテニスで、君も僕も邪魔になったら捨てられる」
って本当苦しそうだった。
世界でもトップレベルの才能の持ち主とお付き合いするのって
そういうものなんだろうか。
普通の人間とのお付き合いとやっぱりちょっと違うのかな。
キング夫人より先にボビー・リッグスと男女対抗試合をして
ボッコボコに叩きのめされたコート夫人が
保守的で女性的、プレッシャーに弱いのに対し、
キング夫人は怒れば怒るほど強くなるタイプでプレッシャーに強く、
まさに野生の獣のようなプレイスタイルに撮ってあった。
歓声のボリュームとか細やかな演出で、
試合を盛り上げていく表現も良かった。

しかし1973年に、ホテルの妻の部屋に女友達が来てて、
バスルームに友達のブラが置いてあったら、
即浮気を確信するだろうか…?夫くん、名探偵の資質があるのでは。

あ、犬好きの方にはちょっとモヤってするかもしれないシーンが
15秒ほどあります。









2018.09.10 サイトに掲載

2019.01.01 再掲載





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