「灼熱の魂」









中東出身のカナダ人女性が亡くなる。
変わり者だった彼女は自分の娘と息子に遺言を残す。
実は2人の兄にあたる人物がいること、実は2人の父親が生きていること。
父と兄を探し出してほしいという母の願いを叶えようと、
母の故郷に飛ぶ長女だったが、
そこで判明したのはレバノン内戦下での悲惨な母の過去だった…というあらすじ。

母の過去を知る人物を訪ね歩く娘と、過去の母のシーンが交互にあります。
あまり元気がない時に見る映画ではないかも。
性別と年齢で感想が変わるような気がします。

有史以来、大人気のテーマだけど、
この系統の評価の高い数々の作品よりも、完成度が高いと思う。
無駄がなく、ドライでクール。
でも残念ながら私は好きじゃない。

ラストばれ
この映画を見て、母親の愛が偉大だとか、寛容と許しこそが救いだとか
そんな風には、私はちっとも思わない。

彼女の心を折るために数々の拷問を加えたが
彼女が屈しなかったため性的暴行を繰り返した、という説明だったが
瞼も鼻も唇も、手足も欠損なくて、どんな拷問が行われたんだ?
プロの拷問人なのに?とちょっと不思議になった。
世情混乱時の大義名分が与えられた性的暴行が大抵そうであるように、
単にやりたかっただけなのでは?
まあ彼女がグロい状態になってなくて比較的綺麗な姿なのは、
ポルノ演出的な都合だろうけど。

あと双子を中東に行かせて、その種の組織に接触させるのは
如何なものかと思う。
母親は優秀な闘士で暗殺者で、
その才能は子に受け継がれていると考えるのでは?脅迫のネタもあるし。
あなたの子は我々の子だ、っていうのは一生守るし面倒を見るという意味であり、
神のための戦士となる子だから我々の子も同然だという意味でもあると思う。

母親は、誰かが自殺するとは考えないの?
どうして?って思うし、
双子が父親を殺そうとするとも考えない?なぜ?って思う。
それと母親が殺した人の子孫とかが、
復讐で双子を殺しに来る可能性だってあると思うんだけど、
原作ではそのへん、ちゃんと言及されてるのかな。
(あの暗殺、半分は勘違いによるものだと思うんだけど
後悔とか、遺族の人への文書とかはないの…?)
とか色々気になって駄目でした。

邦題はちょっと、内容とずれている印象…。
業火とか…いや、仏教用語だけど。

母の過去と現在の娘のシーンが交互にあるところが
「地獄のマンマミーア!2」という感じだな、ふふ…って思った。












2018.09.07 サイトに掲載

2019.01.01 再掲載





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