「レディ・バード」









監督・脚本 グレタ・ガーウィグ
カリフォルニア州サクラメントの高校に通うクリスティンが
親と喧嘩したり、男子と出会ったり、友達と色々あったりするというあらすじ。
母と娘の話。青春の話。友情の話。あと格差社会の話。
シアーシャ・ローナン主演。
「カリフォルニアの快楽主義を語る人は、
サクラメントのクリスマスを知らない」という
ジョーン・ディディオンの言葉で始まります。
サクラメント、緑やお花が多くて広々としていていい所ですね。

タイトルのレディ・バードは、主人公が自分で決めて、
周囲にもそう呼んでくれと依頼した名前です。
主人公は思春期のエネルギーの化身のような子で、
「怒りの葡萄」の朗読テープを聞いて涙したかと思えば
次の瞬間、進学問題で親と揉めて走行中の車から飛び降りて骨折とかしちゃう。

私は田舎育ちだけど田舎に嫌悪感はないし、
とくに思春期とか反抗期とかがないまま成長し、
常に薬物が効いたようなぼんやりとした精神状態で生きてきたので
この映画の、エネルギー有り余ったスーパーサイヤ人のような
主人公の状態に共感はできなかったけど、先祖の霊になった気持で見てました。
プロムのシーンは良かったな。
あ、でもどっちかというとお母さんに肩入れしてたかも。

ラストばれ

出勤前に焼いた卵の火加減に注文つけられたらそりゃムカっとするし、
(半生でいいじゃん!って思ったけど、あっちの卵は鮮度的に生食はやばいのでしたっけ)
出勤前にバスタオル2枚も使われたらキレる。
というか病院でフルタイムで働いているお母さんにさせずに、
家事は働いてないお父さんが担当したらどうなんだろう…。
それとも鬱病の人は、料理も洗濯もやったら駄目なんだろうか。

この映画、母と娘の微妙な感情のこじれが上手くて、
母が「足引きずってるみたいだけど疲れた?座る?」って聞いたら
娘が「足引きずるなって言えばいいじゃん!」って怒ったり、
娘が自分達の住まいをスラム的自虐ジョークにしているのを知って
母親が自分だっていい家に住みたいけどお前たちの教育費が嵩むんだよ!
って怒ったり、うわあ、なんか分かるー…でした。

ぽっちゃり親友ちゃんも、悩みを抱えたボーイフレンドも、
神父さまも、お母さんもお父さんもお兄さんも、その彼女も
みんな悪い人じゃなくてよかった。
個性派のイケメンバンドマンも、クラスの人気者美人の子も
カーストが違って価値観が合わないだけで、悪い子ではなかった。

貧困に関しては、お父さんがリストラされてしまったり、
お兄さんが大卒だけど就職難でレジ打ちしか仕事がなかったり、
自分の家が恥ずかしくて裕福な家の子だって嘘ついちゃったり、
2018年(本国公開2017)になって貧困を描いた映画の率が上がってきたんですが、
どこの国でも状況は同じ…でもどうして?という気持ちでした。

最後は名前を名乗るところで終わった方がクールだったかも。










2018.06.06 サイトに掲載

2019.01.01 再掲載





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