「モリーズ・ゲーム」 「ソーシャル・ネットワーク」や「スティーブ・ジョブズ」の脚本を手がけた アーロン・ソーキンの初監督作品。 このひとの脚本はデータや根拠をガンガンとマシンガンのように畳みかけてくるのですが、 監督作品の今回もそれは同様で、ものすごい情報量に脳が痺れました。 モーグルで北米3位の成績を持つモリー・ブルームが ソルトレイクシティ五輪の予選大会で再起不能の怪我を負い、 充電期間に訪れたロサンゼルスで賭けポーカーの世界を知り、のめり込み、 ポーカークラブを運営するまでに至り、とうとうFBIの強制捜査を受ける、というあらすじ。 モリー・ブルームの自伝を元にした実話映画です。 頭のいい人が書いた一人称の小説を1冊、速読で読まされた感じです。 情報量の多い映画がお好きな人におすすめ。好き嫌いはあると思う。 ポーカーのルールを知らなくても、図説とか入るのでたぶん分かると思います。 ラストばれ 親にトラウマのある美貌のアスリートが転落する話という点で 「アイ,トーニャ」と同種の話と言えるけど、全く対照的で面白いです。 モリー・ブルームさんは父親が大学教授、母親がアスリート、 兄弟はオリンピック選手と医者。 知能と肉体に優れ、経済的に安定した環境で育った彼女は地頭がよく、 それは賭博ポーカーの世界のルールと成功のノウハウを みるみる学習していく過程で顕著です。 ソーキンさんの脚本は展開上必要な時だけ感情表現がある印象なのですが、 今回は珍しく多めだったように思います。 原作がそうなのか、あるいは初監督作品だから柔らかめにされたのかは分かりません。 父親との対話で主人公が心の問題を解消するシーンは、一歩間違えると ものすごく陳腐になってしまいそうだったけど、さすがのセリフの切れ味で乗り切った。 予告では人の心を持たないような印象だったモリーさんですが、 物語の中では終始一貫してモラルの高い人でした。 ただ、ボディーガードとコンシェルジュと証券詐欺の人には何らかの復讐をしてもいいと思います。 最後、起訴不受理には「ん?」となったんですが、 あれもポーカーのようなもので、ブラフで賭け金を頂戴しようとしていた検事団に対し モリ―が読み勝ったということでいいのかな…。それとも有力者からの働きかけ? もっと素朴に、善行が身に返ったとかそういう? プレイヤーXはどこかで見た顔だと思いましたが、スコット・ピルグリムの子か。 この映画の情報過多な部分が好き!って思った人には「女神の見えざる手」をおすすめ。 2018.05.13 サイトに掲載 2019.01.01 再掲載 戻る |