「君の名前で僕を呼んで」 監督ルカ・グァダニーノ 脚本ジェームズ・アイヴォリー 原作アンドレ・アシマン 大学教授の父親と、教養高い母親に育てられたエリオは 17歳ながら音楽や文学や語学に造詣の深い、容姿の優れた少年だった。 一家はイタリアの別荘で夏を過ごすが、 父が夏の間の助手として雇った学生がやってきて、 彼の知性と魅力にエリオは心を乱される…というあらすじ。 美しい映画です。 イタリアの夏の日差し、小さなプール、摘んだばかりの果実で作るジュース、 虫の羽音、夕方の雨、白茶けた道、ひんやりとした静かな室内、午睡。 夜の青さ、木々の黒さ、開放された窓からの風、小さな寝息。 主役2人の彫刻のような造形、深いアイホール、完璧な鼻梁、 金の髪、巻き毛、筋肉の形、細い手足。 音楽もとてもいいし、暗示が上手くて上品です。 プラムの語源の話とか、ギリシャの塑像に触れる指とか。 ただ、性行為は何回かあるので、ご家庭での鑑賞向きではないかも。 内容ばれ 口にできない思いをノートに走り書き、一喜一憂し、 そっと触れる事で思いを伝え、押すべきか引くべきか悩み、 おかしくて楽しくて笑い転げながら夜の街を一緒に走る。 恋愛の光の面が抒情的に描かれていました。 お父さんが最後に語った言葉がめっちゃ沁みたのですが、 恋に関するあんな繊細で綺麗な言葉を息子に語れる壮年の男性が 世界に何人いるだろう。 (恋を失った苦しさから立ち直るために人はみな自分を削る。 しかしそのせいで次の恋人に何も与えられなくなってしまう。 という話が深い。 でもお父さん、容姿が劣化したら誰にも触れてもらえないし 見てもらえないとか、シビアな話もしてた/笑) 「ムーンライト」のフアンと並ぶ悩み相談名人なので 2人にはネットで若者の相手をしてほしい。 残念ながら私には合わなかった点(ラストばれ) 17歳の少年と24歳の院生かー、うーん、と思って見に行ったのですが、 私的にはギリギリアウトでした。17歳って境界線の年齢ですね。 エリオ側からのほぼ無理矢理に近い、不可抗力の性行為だったなら あるいはエリオがもっと対人スキルに長けた、 感情のコントロールが大人なみの子だったらセーフだったんですけど (いやその未熟な子供が揺れ動くのが美しいんだという趣味は分かります)、 オリヴァーが圧倒的に有利で、いくらでも自分の望む方向に エリオを誘導できたので(それこそ年長男性が導くギリシャローマの少年愛のように)。 私はこの内容で大学生と少女だったら、三つ又の鉾で田楽刺しにして 頭上に掲げていたと思うので、そこのところは同性間でも変りません。 ご両親が許してるという点でちょっと救われるかな? あと当てウマ子の扱いがあんまりだったので…。 本命との恋愛に比べたら知性も繊細さも低い描き方で、 本命との逢引までの時間つぶしでまぐわって、 本命との恋愛に夢中になったら放置で、 でも怒ってなくて主人公を許してくれるっていやちょっとウマ子本当にそれでいいの? あとオリヴァーはいい感じの女性がいたにも関わらずエリオに手を出して それで「結婚します」って…。 多対多の恋愛主義の方もいらっしゃるのは知ってますが、 私は恋愛は1対1で行いたい派なので(妊娠とか性感染とか色々面倒でしょう) そのへんよく分からなかった。 続編で全部引っくり返るのかもですけど。 2018.05.02 サイトに掲載 2019.01.01 再掲載 戻る |