「アベンジャーズ インフィニティ・ウォー」








マーベル・シネマティック・ユニバース19本目の作品です。
「シビル・ウォー」で事実上崩壊したアベンジャーズだったが、
強大なパワーを秘めた6つの石を集めるサノスの襲来に対抗するため
それぞれが必死の抵抗を試みる…というあらすじ。

いや、もう、物凄かったです。
普通の映画のラスト20分!みたいな怒涛の展開が2時間30分ずっと続くんです。
最初から最後までクライマックスです。
最初から最後まで小粋な名セリフが出まくり、断続的に名シーンが続き、
衝撃の展開につぐ衝撃の展開、見終わったあとはほぼ精神力が尽きています。
途中で思いましたが、監督のルッソ兄弟は
ヒーロー系エンターテインメント映画というジャンルにおいては、
たぶん現時点で宇宙一うまい。超絶技巧です。
プロアマ問わず、架空の話とその技巧に興味のある人の多くはそう思われた筈。
(技巧にこだわらず自分の好きな話だけを追求したいタイプの人には響かないかもですが)
(物語の技法って説明が難しいですが、エピソードの優劣やユーモアのセンス、
キャラクター造形の強さ、構成力、密度、スピード、アクションの組み立て、独創性等々)

1人の主人公と脇役数名で面白い映画を撮れる監督はたくさんおられます。
上手い監督なら主人公格の人間が5、6人いてもなんとか話が回せるかも。
しかし主役映画を持つヒーローが8名、それに加えて
それぞれにバックボーンを持ち話の中で活躍するサブキャラクターが10人以上、
しかも今回の敵サノスはその理念や苦悩が丁寧に描写されます。
ルッソ兄弟の持ち味であるアイディア豊富な戦闘シーンが随所に入り、
初対面のキャラクター同士の間でユーモラスな会話や対立が発生し、
彼等の強さが発揮され、しかし誰も引き立て役にはならず、
進行のための捨てシーンがなく、DVD鑑賞だと早送りするだろうなというシーンがない。
どうしてこれが2時間30分で収まったのか私には理解できません。
ドラム缶の中に部品を入れて、振り回して開けたら
偶然組み合わさってテレビが出来ていた、くらいのミラクルに見えます。
なんでこんな事が出来るんだろうって考えましたが、
同じ環境で育った、影響を受けた作品も好みも発想も似通った脳が2つあるから?
くらいしか理由が考えつけません。

欠点としては、初見の人間向けではないし、子供向けでもないところでしょうか。
しかし前提条件として過去作品が18作あるシリーズもので、
登場人物がめちゃくちゃに多いアベンジャーズというドル箱シリーズがあり、
その新作を誰かが撮らねばならないのは確定していて、
その中央からの無茶振りに、現場の天才指揮官が神采配を振るい奇跡で応えたのですから、
そこに文句は付けたくないです。
ただ、「Infinity War Part1」「Infinity War Part2」とする筈だったタイトルから
章分けの表記を取り払ってしまったのはフェアでない気がします。
ラストで決着がつかないので。

ラストまでばれ注意

どのシーンも、どの一瞬もすごかった。
「小僧ども、宇宙船は初めてか」
「ビートルズみたいに?」
「地球は閉店だ」
「その動物は代弁者か?」
「我々のポッドは貴殿には渡さない」
「1時間前から」
「イエス様とでも言えと?」「…地球から?」
「降伏するって?」「ないな」
「卵産まないで」
「オリンピックやスターバックス」
「髪切った?」「髭真似たろ?」
寒いジョークがなくて、どっちかといえば皮肉の効いた、
ビターめの会話が嬉しかった。大好物。

とうとう兄に対して率直な言動ができるようになったロキ!
その次の瞬間の衝撃展開!
まさかあの義眼ねたが回収されるとは!
両肩を切る仕草をして叙勲の真似ごとでアベンジャーズ入りを宣言をするトニー!
(どっちもアメリカ人なのになぜ!?)
ストームブレーカーの材料にあれがああなるとは!
知的レベルの低い人間を前にしたトニーがあんな顔をするとは!
キャップと親友のハグ、満面の笑顔!
ガモーラのいないところではガモーラの事しか言及しないネビュラさん!
グルート語を解するソー!
敵は全員倒す。失うものはないと勇猛な言葉を語りながら涙を流すソー。

アクションは特にガーディアンズ組と地球組の共闘のところ燃えた。
ストレンジの作った足場の上ををスターロードがジャンプし、
ポータルを駆使してスパイディがトリッキィな攻撃を仕掛け、
ネビュラが切りかかり、マントが腕に絡みつき、マンティスが精神攻撃、
アイアンマンがグローブを引っ張る。
あそこはスターロードが原因で失敗しますが、彼の短慮や低能が原因ではなく、
ようやくガモーラと心が通じた直後に、しかも親に殺される子供という
スターロードの地雷であったせいだときちんと予防線が引かれています。
というか今回のアベンジャーズ側は愛情ゆえにサノスの後手に回るパターンが多かった。
ソーを人質にとられたロキ、ネビュラを人質にとられたガモーラ、
ビジョンをすぐさま消滅させられなかったワンダ。
(ワカンダに行かずに秘密裏に土中ででもあれを行って、
そこを爆破してればあるいは巻き戻せなかったかも)
そして愛情ゆえに、愛する者を手にかけたキャラクター達。
逆にどんな犠牲もいとわず目的のために有効な手段を選択し、愛する者を殺したサノス。

個人的にMCU3大クズ親(オーディンさんエゴさん)にランクインしたサノスに関しては、
後篇を見ないと私には分からない。
彼の愛情を否定する展開が来るのか、
それとも彼は全世界の年配の男性の感情移入用キャラクターで、
娘の愛情と嘆きを受けて消えるのか、
更にキャラクター描写が追加で来て
(彼の親の名を梅干しが言ってた。アラ―ス。原作ではタイタンの統治者)
大半の観客が同情できるようになるのか。

そしてMCU最大の鬱エンディング…………。
まさかシビルウォーを越える作品が誕生するとは思ってなかっ…。
私の隣りのお客さん大号泣だったんですけど…ちょっと…。
私はキャプテン・アメリカとバッキーが推しなんですけど、
正直トップでやってくれたのはありがたかったです。
あそこで許容量オーバーしたおかげで、あとは誰の消滅も心に入ってこなかった。
虚無でした。
キャップの名を呼ぶ柔らかい声、
キャップが身分も仲間も故郷も全部捨てて彼の手をとった親友が目の前で灰燼と化す衝撃。
膝をつく彼と、「なんてことだ」という腹から出ていない力のない最後のセリフ。
それでも「気分が悪い」「行きたくない」「ごめんなさい」というピーターのシーンは
ダメージありました。HPゼロでしたけど。鬼か!鬼かよ!

えっとでも今回消えた人はむしろ安全で、
危ないのは生存組だというのは分かってるんですよ。契約本数的に。
でもやっぱり消えた人の気持ちとか残された人の気持ちとか分かってしまうし考えてしまう。
もうずっと、10年ほど見続けているシリーズの人達だから。
あと推し2人が一緒に生きていくのが理想なんですが、
次善策として一緒に死んだなら、私にはそれは悲劇ではないんですけど、
今回の展開で、その結末が難しくなったのが察せられてかなりへこみました。

余談ですが、今回出てこなかった蟻おじさんが実はずっと登場してました、って体裁で
全滅シーンのダイジェストを後篇の冒頭にやらないかな。
Drの指示でタイムストーンにくっついて飛んでって、
ずっとグローブに潜んでて巻き戻しをする役目。
(ケン・リュウのSF小説にそういうねたがある)
(ケン・リュウはディズニ−でノベライズの仕事をしているので原案協力可能だと思う)

私は現在トータルで2100本ほど映画を見ていますが、
自分がまだこんなにフィクションで衝撃を受けられるのに驚いてます。
考えてみたら過去作品18本、単純計算で40時間以上、
派生ドラマも合わせると合計100時間以上、
その時間全部で殴ってくる集大成が、文句のないモンスター級のクオリティで
そりゃあショックも受けるよなあ…と納得してます。こんな映画は他にない。

これから1年続編を待ちます。
ワクワクと、悲鳴と汗と涙をありがとうマーベル!
何度も見るしグッズも買う!









2018.04.30 サイトに掲載

2019.01.01 再掲載





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