「マイティ・ソー バトルロイヤル」








雷神ソーを主人公としたシリーズ3作目、
マーベルシネマティックユニバースとしては17作目の作品です。

オーディンになりすましたロキの支配するアスガルドは、
それなりに平和だったが、オーディンが封じ込めていた死の女神ヘラが復活し、
ソーとロキの兄弟は共闘せざるを得なくなる…というあらすじ。
脚本のエリック・ピアソンは「エージェントカーター」シリーズを書いていた人、
監督タイカ・ワイティティは脱力系吸血鬼コメディ
「シェアハウス・ウィズ・ヴァンパイア」を撮ったひと。
私は「シェアハウス〜」大好きなんですが、
あまりにもMCUとカラーが違いすぎるので、今回はアカンやつになるんじゃ…
ってハラハラしてました。でも全然そんな事なかったです!よかった!
ワイティティ監督のゆるい大らかな笑いと原始的な生死観が、
人間とは違う、神々の世界の荒々しさとよく合ってました。
これまではシェイクスピア風味を中途半端に引きずってて
方向が定まらなかった印象なんですが、全部ぶっとばして雷神誕生しました。

ラストまで全部ばれ注意
登場人物のメンタルの強さの平均値は、作り手のそれに比例するので、
この作品に登場するキャラクターたちはみんな強いです。
膝を抱えて悲劇のヒロイン気分に浸る人とか1人もいない。
まずそれだけで見てて安心感があります。
バナー博士も図太くなったし、
ハルクも知能がちょっと高くなって友達ができてバトルを楽しんでる。
ロキもなんか楽しそう。
(ロキのメンタルが安定したのは、あにうえが女と別れたからだと思います)
ソーは、父が虐殺者、母は侵略者に殺され、弟は裏切者、
幼いころからの仲間は姉に殺される、姉と殺し合い片目を失い、
故郷を失って放浪、ついでに彼女に振られるっていう、
間違いなくMCU内ダントツの悲劇王なのに、
アッケラカンとしてて、特に誰も憎んだりせず、
ごく当たり前のように民のために戦います。
1作目を思うとものすごい成長だし、お父さんより器が大きいと思います。
(というかオーディンが虐殺と侵略で領土を得て、
それまで利用していた娘を用済みになって幽閉していたとか、
諸悪の根源にも程があるんですが…)

箇条書き
・鎖でグルグル回るソーかわいい。待ってあげるスルト優しい。
 この来るはずのムニョが来ないのを始めとする
 「決めシーンのテンポがずれる」パターンは何度も繰り返されます。
・2で「もしかしてロキどん、親父を殺っちまった…?」って心配してましたが
 老人ホームに捨てただけだった…よかった…!
 (でも監督が違ったら殺してた事になってたかもしれなかった)
 そしてオーディンになりすまして何をしてたかというと
 でっかい自分の銅像を建てて、自分が兄上に看取られるシーンを
 劇場版にして楽しんでただけだった…。ちっちぇ。かわいい。
・マット・デイモンナンデ!?
・ウォーリアーズスリーは…最後に「やれやれ、危なかったぜ…」って
 再登場すると思ってました…。
・ヘラおねいちゃんの「ニール」で笑ってしまった。
 えっ本当に血のつながりはないの!?緑だし黒髪だし!
 たぶん姉弟3人で暮らしたらヘラおねいちゃんとロキは仲が悪いと思う。
 日頃はソーのことバカバカ言ってそうだけど、実質ソーの取り合いになると思う。
・むかしバージョンの宮廷画家、あんまり腕がよくない…。
・ヴァルキリーさんは初登場泥酔、「酒はやめない」ってあたりで
 大好きだったんですが、金髪黒髪百合チラありがとうございます!
 でもオーディンを恨んで暗殺に行かないのは、かなり優しいよこの人。
・今回のおじいちゃんはすぐ分かった。段々演技がうまくなってるおじいちゃん。
・笑いの神完全復活!30分落ちたり、ゴミ投げられたり、
 必殺病人のふりしたり!
 なんかもう子供時代は壮絶に色々色々あって1周回ったあとさらに
 5周くらいして完全に諦めてうまくやってる感じ、とってもいいです。
 ヴァルキリーになりたかった兄上と、すぐ兄を刺しちゃう弟…見たい。
 血と笑いのメモリアル!
・トニー・スタークコスプレとか、僕は博士号を7つ持ってるとか、
 ズボンがきついとか、随分たくましくなったバナー博士。
 ところできついのはお尻?それともお尻じゃないほう?
 認証パスの件で、トニーは本当にバナー博士のこと
 好きだったんだなあって思いました。ハルクもひっくるめて。
 好きな子に逃げられがちなトニー…でもペッパーは傍にいてくれるからね!
・監督は「MCU過去作品一切見てない」とか「8割がアドリブ」とか言ってますが、
 過去作品のねた拾いまくりだし、小道具仕込みの必要なギャグが多いし、
 コッミックネタもあるし、絶対そんな訳ないだろ!?って思います。
 試験前に全然勉強してないよーって言う的な法螺吹き男爵なんかしら…。
 むかしガチでほぼすべてアドリブの映画って見たことありますが、
 見たのを後悔するくらい地獄のようにしょうもない話でしたよ…。
・「エイジ・オブ・ウルトロン」のヘイムダルの台詞と、まあなんとか矛盾なくつながった。
・アスガルド人、明らかに少なくない…?
 バカンスのシーズンでみんな海とかに行ってるの?
・音楽も随分ピコピコした感じになってイメチェンした。宇宙っぽい。
 あと予告編で移民の歌が流れるのは単にインパクトがあるからだと思ってたけど、
 100%内容に合致してたし本編でも流れてめっちゃ格好良かった。










2017.11.06 サイトに掲載

2018.01.30 再掲載





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