「ブレードランナー 2049」








監督ドゥニ・ヴィルヌーヴ
レプリカントのKは、「ブレードランナー」として、
違法レプリカントを狩る毎日を送っていた。
ある男性型レプリカントを始末した後、
Kは現場の庭に箱が埋まっているのに気付く。
その箱の中には遺体が入っており、
彼はその遺体の持つ秘密に翻弄される…というあらすじ。

35年前のSF映画「ブレードランナー」の続編です。
その後、大量のSF作品に影響を与えた超有名作品です。
今回のこの映画はKの物語で、彼の悲哀が切々と描かれます。
淡々と命令に従い、口をつぐみ、都市を見る彼。
その表情と目。永久に降り続けるような雨、それから雪。
続編として遜色ない作品でした。
私向けではなかったけども。絶賛意見が多いので少数派です。

内容ばれ

前作も今作も人間でないものに恋をする男が出てきます。
前作のデッカードはレイチェルを得ますが、
今作のKはジョイを失い、全てを失います。

生身の肉体に立体映像を重ねたラブシーンと
立体映像で生身の人間が一瞬見えなくなるアクションシーンが良かった。
実体のない人工知能が、女の協力者を得て
愛する男と3者で、奇妙な性行為を試みるくだりは
「her/世界でひとつの彼女」を思い出しました。
あと所々共産圏のデザインっぽい建築物も良かった。

雪のシーンが美しかったです。
前作のレプリカントの踊り子のシーンでもショウウィンドウの中で
人工の雪が降っていました。

「自分だと思っていたのね?」っていうセリフのところで
共感性羞恥を起こしそうになりました。ひどい。
ゴズリングのHPはゼロよ!やめてあげてこの鬼!

音楽は当初、ヨハン・ヨハンソンの予定で、
彼も相当数作曲を進めていたらしいのですが
ヴァンゲリスっぽく、という製作会社と監督の要望と合致せず
土壇場でジマーに変わったそうです。
残念。たぶん私はヨハン・ヨハンソン版の音楽の方が好きだったと思う。

なんでまたこの人達は突然チーズの話とかしてるんだ、
なんで宝島なんだって思ったけど、
前作のボツカットで、生きてたホールデンが「宝島」を
読んでたねたからきてるんだな。たぶん

スピナ―にワイパーって付いてたっけ…?っていうのが気になって
旧作を見返したけど、私の持ってる版にはワイパー付いてなかった。

not for me理由(ねたばれ)
無印は、猥雑でなんかヤバイけど、
当時のエンタメ映画としては画期的に多くアジア人の老若男女が画面に映り、
人々は頻繁に飲み食いし、わいわいと喋って、生活して、
豊かでエネルギーがあるというか、ワクワクさせてくれる世界観だったけど、
今回は貧民窟みたいなところで最低生活をしている人々があり、
孤児院の児童が強制労働させられ、性的に売買され、
男女が淫売宿でまぐわって、陳腐で停滞した世界なのが息苦しかった。

もっとショックで動けなくなるような、模倣作品がガンガン出る、
斬新で唯一無二の未来世界が見たかった。
たとえば都市風景の広告、
全裸の女性の立体映像が先鋭的で扇情的っていうのは、
20世紀の感性だと思う。私は。

レプリカントの製造法って人工的なものだと思ってましたが、
この映画の設定だと貧困層の女を工場に並べて、
テロメアに細工した受精卵を移植して生ませてるんじゃないの?コスト的に…。
あんな倫理の破壊された世界でわざわざ培養器を使うメリットなさそう。

知能と意思を持つ生物を人間と区別する事の是非、
人工の意思とそうでない意思に区別がつけられるのか、
その存在への愛情は人間同士の愛に劣るのか、
というSF的なテーマを「子供産めるからにんげん!!本物の愛!!」
っていうマッスルチョップで粉砕してて笑ってしまいました。
あと意思があって、人間と交配可能となるとそれはもう完全に人間なので、
どっちかというと人権なく強制労働、性的虐待される生物の苦難という、
人種差別的なテーマにガタンとレールが切り替わった気がします。

あとデッカードが、寿命の知れぬ人間じゃない美しいものと
逃避行に出たというラストが大変夢のあるものだったので、
その後レイチェルが出産で死亡したとか、邦ドラっぽい後日譚は望んでなかった。
まあそれこそが人間の証で彼女は幸せだったという設定なんでしょうけど、
「ブレードランナー2049、男はつらいよ 旅と女とデッカード」
という感じ。(旧約聖書〜めたふぁ〜云々は、うん…まあ、そうなの…)

「ブレードランナー」という言葉の元ネタになったアラン・E・ナースの小説、
違法な医療器具の運び人を書いた「The Bladerunner」を読んでみたかったんだけど、
さすがに翻訳されてないっぽい残念。
でも本職が医師のナースが、医療知識をこれでもかと詰め込んだため、
あまり面白い小説ではなかったそうです…。










2017.10.30 サイトに掲載

2018.01.30 再掲載





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