「スイス・アーミー・マン」 ダニエル・シャイナート監督・脚本 ダニエル・クワン監督・脚本 無人島に流れ着いたハンクという青年が、同じく島に流れてきた死体のメニーと共に、 サバイバルする過程で2人の間に友情が芽生えるというブロマンス映画。 類似作品を全く思いつけないとても変わった物語です。 死体と一緒に悪戦苦闘する話は「世にも奇妙な物語」にあった気がするし、 「キャスト・アウェイ」のウィルソンが死体になったような感じ…とも思うんですが、 ハンクとメニーの暖かい(そして馬鹿馬鹿しい)交流はやっぱりそれらとも違う。 死体をダニエル・ラドクリフさんが演じます。 ともかく変な役がやりたい彼は、脚本を読んで即決だったようですが、 彼の見事な死体演技は一見の価値ありです。 腐敗ガスおならネタとか、勃起した男性器がコンパスになったり、 ダニエルさんのお尻まるだしとか、一部下品なので、 ご家族での鑑賞向きではない気がしますけど、 見た事のない独創的な話が好きな方におすすめです。 本当に、どうやったらこんな話を思いつくのか。 タイトルは、死体のメニーくんには信じ難いほど色々な機能があって お役立ちのところから、スイスアーミーナイフに譬えています。 映画「グリーン・ホーネット」でブリットが有能なカトーに対して 人間スイス・アーミーナイフって言ってたのを思い出して、ふふってなりました。 あれも大好きなブロマンス映画です。 ラストばれ ハンクとメニーの距離がどんどん縮まって、 酔っぱらってキスしそうになってからの甘酸っぱいおやすみと 危機的状況での満を持してのキス、一体何を見せられているのか…ってなりました。 でも2人には好きな女性がいるし、これは行き過ぎた友情表現…? と思っていたら監督が質疑応答で 「ハンクとメニーが恋に落ちるに任せて、意図せずしてゲイ・ネクロフィリア映画を作った」 って答えておられたので、やっぱりこれは恋愛映画でいいような気もしました。 でも恋愛映画って言ったらネタバレかもと思ったので伏せます。 ハンクとメニーがごっこ遊びをするために作ったバスや、 レストランや映画館がとってもロマンチックでした。 バスの窓の風景が手動で流れるところとか、 ミシェル・ゴンドリーっぽい工作感というか、 絶対監督はミシェル・ゴンドリー作品が大好きだと思う 女装するハンクの格好も、滑稽なはずなのに バスの映像はすごくすごくキュートに撮れてたし、ポール・ダノさんの演技も良かった。 でもこの映画、現実から乖離しないよう、 「メニーとの交流一切が、ハンクの幻覚」とも解釈できるよう撮ってます。 ハンクが死体を動かし、メニーとして喋っているともとれる。 (ハンクと幼女以外はメニーとコミュニケーションをとってない) というか、最初の島を脱出して、 自分の住んでいた地域に到達できていたというのはかなり非現実的なので、 どこまでがリアルなのか考え出すとちょっと難しい。 監督2人組はこの作品がデビューのようなので、 これからも変な映画をどんどん撮ってほしいです。 それにしてもあの曲、ジョン・ウィリアムズ御大からよく使用許可とれたな! あ、全体的に音楽のセンスもとてもよかった。 映画予告 https://www.youtube.com/watch?v=cmmxUF1Sy_k 2017.09.25 サイトに掲載 2018.01.30 再掲載 戻る |