「ベイビー・ドライバー」








エドガーライト監督

子供の頃の事故が原因で耳鳴りが消えないベイビーは
凄腕のドライバーで、現在はドクという元締めの指示で
犯罪者専門の逃がし屋をやっていた。
彼は常にお気に入りの音楽をかけ、耳鳴りを打ち消していた。
というあらすじ。

最初から最後までベイビーが音楽を聴いているのですが、
人物の動作や効果音が、主要な場面でずっと音楽のリズムに同期しています。
映画の予告編にはよくある手法ですが、2時間ずっと、というのは
ミュージカル映画を別にして私は初めて見ました。
(この映画はミュージカル映画ではありません)
どうして誰もやらないかというと、たぶん物凄く手間がかかるから。
そして音楽がきっかけで人と知り合い、音楽について犯罪者と会話し
耳の聞こえない養父が振動で音楽を楽しむのを見守り、
ベイビーの時間は音楽と共に進んでいきます。

「ショーン・オブ・ザ・デッド」「ホット・ファズ −俺たちスーパーポリスメン!-」
「スコット・ピルグリム VS. 邪悪な元カレ軍団」
「 ワールズ・エンド 酔っぱらいが世界を救う! 」
のエドガー・ライト監督。
彼はずっとアホブロマンスとブラックジョークが持ち味で、
「大人になんかならないもーん!」って舌を出すような映画を撮ってきたのですが、
今回はアホブロマンスなし、悪趣味なジョーク控えめで、
映画通が唸るような繊細な作品を仕上げました。
そんな引出しが!と、びっくりしたのと同時に少しだけ寂しい。

ラストばれ

でもベイビーが自分への称賛の声をサンプリングした曲をみんなで聞くシーンは、
この映画最大の笑いどころだと思うんだけど、
ものすごい溜めが長くてどきどきした。ダーリンが笑ってくれてよかった。
(観客は誰も笑ってなかったけど……)
バディとダーリン、色々あってたくさん殺したんだろうけど素敵なカップルですね。

展開の歪みは全部ドクが背負ってくれた。
何をどうしたかったんだあのひと。どうしてバッツを殺っておかなかったんだ。
ベイビーの初デートをストーキングしていたのは、ちょっと気持ち悪いです。
でも妙に嫌いになれない変な人。

ラスト、ベイビーが手を血で汚して女を置いて消え去るラストにした方が
純度が上がって、これまでとは違うコアなファンがいっぱい付いちゃったと思うんですが、
でもあそこまできちんと描いて、なおかつ幻覚オチも匂わせないところが監督っぽいな、
健全で好きだな、と思いました。

車と音楽に詳しいともっと楽しめる映画だと思います。
アクセルターンを決めて側面後部で撥ね飛ばすの、
なんか近年のカーアクションの流行りだな。









2017.08.24 サイトに掲載

2018.01.30 再掲載





戻る